北海道のスルメイカ漁、1週間遅れで初水揚げ 業者「一息つける」

2025/06/09 11:47 

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 解禁日に漁獲がなく、史上初めて競りが中止となった道南スルメイカ漁は9日早朝、北海道函館市の函館漁港などに1週間遅れで初水揚げされた。漁船の水槽からは生きたままの「いけすイカ」が次々とすくい上げられた。

 今季のスルメイカ漁は1日に解禁したが、ほぼ漁獲がなく、函館市の公設市場が開設した1965年以来、初めて初競りが取りやめになった。

 函館漁港からは8日に改めて小型イカ釣り漁船10隻が出漁。「いけすイカ」の水揚げは約160キロ(昨年113キロ)。午前5時半に始まった初競りでは、いけすイカの最高値が1キロ8300円(同8000円)となった。

 卸売業者「函館魚市場」の美ノ谷貴宏営業部長は「とりあえず水揚げがあり、一息つける」と安堵(あんど)。スルメイカのサイズは小ぶりで、「これから最盛期を迎え、成長してほしい。急激に水揚げ量は増えないだろうが、期待している」と話す。

 はこだて自由市場で1951年に創業したイカ専門店「富田鮮魚店」には、水揚げされたばかりのスルメスカが並び、朝から旬の味を求める人たちが足を運んだ。富田和子社長は「少しでも店に並べることができてよかった。皆さんに安く食べてもらいたいので、少しでも多くイカがあがることを期待しています」と話した。

 道立総合研究機構函館水産試験場は5月下旬、津軽海峡周辺から秋田県沖の日本海でスルメイカの分布密度を調査。分布は過去5年の平均を大きく下回っていた。

 函館市の名産・スルメイカの漁獲は、統計を取り始めた2005年以降、最多の取扱量が08年6月~09年1月の8924トン。昨季は過去2番目に少ない400トンで、過去最低だった23年度の317トンを上回ったが、低水準が続いていた。【三沢邦彦】

毎日新聞

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