NTT東の発注工事、グループ内で談合疑い 北海道内の設備工事

2025/06/18 05:15 

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 2024年度にNTT東日本(東京都)が発注した北海道内の設備工事の指名競争入札で、NTTグループ企業が談合に関与していた疑いのあることが、毎日新聞の取材で判明した。NTTは内部通報があったことを認め、調査を進めている。

 毎日新聞が入手した内部資料などによると、談合疑惑が浮上したのはNTT東が道内で発注した複数の設備工事。グループ内のNTTファシリティーズ(東京都港区)が実質的に一連の工事の設計や監理を担い、入札を取り仕切っていた。

 24年発注のある工事では、NTTファ社の子会社の日本メックス(東京都中央区)など3社が入札に参加。メックスは自社が最安値になるよう、3社分の見積もりを作成し、3社はこの見積もりで応札したとみられる。工事は事前の調整通りにメックスが落札した。

 関係者によると、24年度に発注された他の設備工事でも同じ構図の談合が行われていた模様だ。NTTファ社が3社に対し、発注が決まっている複数の工事案件を入札公示前に提示。3社は入札に向けて打ち合わせし、落札を融通し合っていたとみられる。

 談合参加企業の1社は、談合して落札した工事で年間総額数十億円規模の売り上げを得た可能性がある。談合は23年度以前からあったとの情報もあり、「不正行為に加担したくない」との疑問の声もあったという。

 民間企業の入札は、自治体が発注する公共工事と異なり、発注企業がルールを定められる。入札の利点は工事のコストダウンや公平性の確保にある。正当な入札が行われない場合、工事費が高騰する恐れがある。

 NTTグループ内での談合疑惑という点も問題となる。NTTファ社らを束ねる持ち株会社のNTTは、政府が株式の3分の1以上を保有。前身の日本電信電話公社から引き継いだ通信網などを持ち、通信関連の同業他社に対する優越的地位と公的な性格もある。

 公正取引委員会で勤務した経験があり、独占禁止法に詳しい池田毅弁護士は「NTT東が談合を知らずにお金を払ってきたのならば、独禁法が禁じる『不当な取引制限』に当たる可能性はゼロではない」と指摘し、「NTTは上場企業で株の3分の1を国が保有している。調達には公平性が求められる部分がある。現実的に独禁法など法による処分が難しくても、倫理的な問題はあり得る」との見解を示した。

 NTTの広報担当者は毎日新聞の取材に対し、事実関係も含めて「調査中」とコメントした。

 談合に関与した疑いのある3社に談合の有無や理由などについて問い合わせたが、3社は「調査中のため回答は差し控える」などとコメントした。【谷口拓未】

毎日新聞

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