島村楽器、フリーランス法違反で勧告 無償で体験レッスン 公取委

2025/06/25 15:30 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 自社で運営する音楽教室の無料体験レッスンをフリーランスの講師に無償で行わせたなどとして、公正取引委員会は25日、大手総合楽器店「島村楽器」(東京都江戸川区)のフリーランス取引適正化法違反を認定し、再発防止を求める勧告を出した。

 公取委によると、島村楽器は2024年11月から25年2月までの間、音楽教室の運営を委託するフリーランスの講師11人に、入会前の利用者対象の無料体験レッスンを計19回、無償で行わせ、不当に経済上の利益を提供させた。さらに講師や、自社主催の音楽イベントで演奏を請け負うミュージシャンら97人のフリーランスに報酬の額や支払期日などの取引条件を文書で明示しなかった。また、86人について、法定期日までに報酬を支払わなかった。

 島村楽器ではフリーランスとの契約時に取引条件を口頭のみで伝えることも少なくなかったとみられ、取引関係にあった講師らは公取委の調査に「報酬の額や支払日を明示するよう求めても応じてもらえなかった」「通常業務と同じように働く体験レッスンが無報酬なのはおかしい」などと話したという。

 公取委は、島村楽器の社内で同法関連のマニュアルが作成されていたものの「実務を担う店舗への周知が不十分だった」と指摘。「不安を抱えるフリーランスも少なくなかった。業界トップにもかかわらず順法意識が甘く、見直す必要がある」としている。

 島村楽器は「勧告を真摯(しんし)に受け止め、法令順守の徹底に全社を挙げて取り組んでまいります」とコメントした。【山田豊】

毎日新聞

社会

社会一覧>