職務で臨場した現場から現金を盗んだとして、警視庁は２７日、新宿署地域課の男性巡査部長（４３）と高尾署地域課の男性巡査（３２）を窃盗容疑で書類送検し、懲戒免職にしたと発表した。同様の事件の発覚は警視庁で今年４件目。警視庁は全署に対して再発防止策を徹底するよう指示した。

　新宿署の巡査部長の書類送検容疑は、２月６日夜、調査のため訪問した東京都新宿区の病院の病室内で、救急搬送された８０代の男性患者の所持品から現金１６万円が入った封筒を盗んだとしている。

　封筒が無くなったのに病院関係者が気づき、署に通報して発覚した。巡査部長は「経済的な不安があった。魔が差してしまった」と容疑を認めているという。

　高尾署の巡査の書類送検容疑は、５月２日夕、八王子市の交番で勤務中、「自宅から現金が無くなった」と相談に来た市内の８０代女性の自宅に１人で臨場し、現金２万円を盗んだとしている。

　女性の親族が、室内にあった見守りカメラで盗まれる様子を確認し、署に連絡した。「仕事や人間関係がうまくいかず自暴自棄になっていた」と容疑を認めているという。

　警視庁は３月、死亡した大田区の８０代男性のアパートから１～２月に現金計約３０００万円を盗んだとして、蒲田署刑事組織犯罪対策課の４０代の男性巡査部長を窃盗容疑などで逮捕。さらに５月、火災現場から現金を盗んだとして、捜査１課の５０代の男性警部を窃盗容疑で逮捕した。警部は約１０件の火災現場から現金計９００万円以上を盗んだとみられる。

　こうした事件を受け、警視庁は５月下旬、臨場した際の注意点として、単独での貴重品の確認を禁止▽取り扱った貴重品を記録▽取り扱い内容を署長に報告――などの再発防止策の徹底を全ての署に指示した。

　菅潤一郎警務部参事官は「職務中の犯罪は言語道断であり厳正に処分した。再発防止に努める」とコメントした。【深津誠】