広がる花火大会の有料席 弁当や専用トイレ付きでおいくら?

2025/07/17 12:59 

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 全国の花火大会で有料席の導入が相次ぐ。来場者数を制限し、雑踏事故や熱中症の防止につなげる狙いで、全席を有料にする大会も増えている。弁当や飲み物、専用トイレ付きで1人3万円の豪華席も登場した。

 2万発もの花火が夜空を彩る「隅田川花火大会」。東京の夏の風物詩で、今年は7月26日午後7時~8時半の開催を予定している。

 実行委員会によると、有料席は隅田川沿いのスペースやスポーツセンターに設置し、1人5000~9000円程度。5000円だとビニールシートを敷いた地面の席で、価格が上がるとパイプ椅子に座れる。有料席は2002年から導入し、徐々に数を増やした。近年はほぼ完売している。

 今年は約95万人の来場を想定し、有料席は1万5600人分。公式サイトでは有料席を取っていない来場者に対し、「ゆっくり座って観覧できる場所はありません」と説明。雑踏事故を防ぐため、歩きながら花火を観覧するよう要望している。

 帝国データバンクの昨年の調査では、10万人以上を動員する106の花火大会のうち、7割超の79大会で有料席が設置されていた。

 日本三大花火大会の一つ、新潟の「長岡まつり大花火大会」は3年前に全席を有料にした。雑踏事故の防止が主な理由だ。以前は混雑によって、会場の信濃川に転落しそうになる事案が相次いだという。8月2、3日の開催で価格は1人2000円からとなっている。

 京都の「保津川市民花火大会」も2年前から全席有料とし、事前にチケットを購入してもらう方式にした。

 3年前、10万人を超える来場者が終了後に最寄り駅に殺到したためだ。価格は1人2200円から。会場に隣接するサッカースタジアムの個室を利用し、飲み放題や軽食付きで1人当たり3万円の豪華席もある。

 滋賀の「びわ湖大花火大会」も有料席を徐々に増やし、今年は6万席を超える。無料の見物スペースはあるが、有料席を設けたことで来場者数を予測でき、警備計画を立てやすくなったという。

 島根の「松江水郷祭湖上花火大会」では、定員4人のVIPテーブル席が12万円。宍道湖の湖面で打ち上がる花火を間近で楽しめ、弁当や飲み物、専用トイレまで付いている。

 最近は値上げの動きも出ている。

 警備員や運営スタッフの人件費の高騰、火薬類の価格の高止まりが影響しているという。帝国データバンクによると、23年に有料席を設けた75大会のうち、半数以上の42大会が24年に値上げした。【洪玟香】

毎日新聞

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