戦後広がったPTA GHQと国が指示・推奨 近年は強制加入に異議
小中高校単位で組織されるPTAは保護者(Parent)と教員(Teacher)が子どものために活動することを目的とする団体(Association)とされ、米国が発祥だ。国内での起源は戦後間もない時期にさかのぼる。GHQ(連合国軍総司令部)の指導に基づき、文部省(当時)が設置を推奨して全国に広まった。
GHQが教育民主化のために日本に呼んだ米国教育使節団は1946年の報告書で保護者と教員の団体をつくることを提言。文部省は同年、都道府県課長会議でPTAの趣旨を説明し、普及を奨励した。47年3月にはPTA結成のための手引書「父母と先生の会―教育民主化の手引―」を作成し、全国の知事に送った。翌年には会則の基となる「参考規約」も示した。
◇1950年に結成率87%
PTAは国の方針にのっとり急速に広まり、文部省の調査では50年3月時点で小中高校での結成率は87・7%、会員数は約1500万人に達した。ただし、結成や加入は形式的な面があり、実態としては学校を財政的に支援する戦前の学校後援会のような活動に重点が置かれていた。こうしたことを踏まえて文部省は67年、学校と家庭が協力して子どもの健全な成長を図るという本来の目的を明記した「父母と先生の会のあり方について」を都道府県教育委員会に通知し、PTAを指導助言するよう求めた。
専業主婦が多かった高度成長期にかけてPTA活動は活性化し、登下校の見守りや学校の備品購入のための「ベルマーク運動」など多岐にわたる活動を母親たちが中心となって担った。
◇共働き増加で非加入や解散も
加入を義務づける法的根拠はないにもかかわらず、PTAへの加入は長年、当然のようにみなされてきた。だが、共働き世帯が増加し、ライフスタイルが多様化する近年は非加入世帯も少なくなく、PTAの解散事例も見られる。
裁判に発展したケースもあり、熊本市立小の保護者は2014年、PTAに強制加入させられたのは不当として損害賠償を求めて提訴。17年に福岡高裁で和解し、PTAは任意団体で入退会は自由ということを保護者に十分に周知する条項が盛り込まれ、全国的に注目を集めた。23年3月、PTAへの入退会のあり方について問われた岸田文雄首相(当時)は国会で「PTAの入退会は保護者の自由」と答弁した。
◇「保護者疲弊のデメリット大」識者
PTAに詳しい文化学園大の加藤薫教授(日本文化論)は「上から下への力が働く『官製団体』としてPTAは普及した。学校は保護者と教員で支えるべきだという価値観が国の方針で明示・強化されて伝わったことで、法的に任意である加入が実態としては義務化した。自動加入や役員強制など数多くの問題の根本はここにある。PTAが子どもの育ちに寄与する効果ははっきりとせず、保護者を疲弊させるデメリットが大きい。学校と保護者はPTAのような組織を介してではなく、保護者面談や三者面談、保護者懇談会を充実させるなどよりダイレクトに連携する方法を模索した方がいい」と話す。【前本麻有、砂押健太】
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