近鉄HD社長、万博跡地の開発関与に意欲 「出資の可能性も」

2025/08/25 08:15 

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 近鉄グループホールディングス(HD)の若井敬社長が毎日新聞のインタビューに応じ、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)での事業拡大に意欲を示した。大阪・関西万博会場の跡地開発についても「メインスポンサーにはなれないが、必要があれば出資の可能性も検討したい」と述べた。

 万博会場横で建設が進む統合型リゾート(IR)の運営会社「MGM大阪」には少数株主として出資を決めている。IRへの関与について「(旅行など)人の動きに関わるビジネスやホテルの運営、流通などチャンスはある」と強調。活用方法の検討が進む万博跡地での関与についても「IRと同様に誘客施設になってくることは間違いない」と前向きな姿勢を示した。

 2030年秋ごろのIR開業に合わせて夢洲につながる大阪メトロ中央線と近鉄各線を直通させることを計画し、新型車両の検討を進めている。投入車両については奈良や京都、伊勢志摩などの観光地を結ぶ豪華観光列車を念頭に「IRを楽しむメニューの一つとして商品設計を考えている。輸送手段というよりは乗っていただくことの価値を提供したい」と述べた。

 26年3月期連結決算で約125億円と見込んでいた万博の増収効果は7月末時点で既に達成し、さらに上振れする見通しだ。近鉄百貨店が会場内に出店する公式ストアやホテル、大阪―名古屋間の特急利用などが好調だった。

 25年3月に発表した28年度までの4年間の中期経営計画では、沿線外での事業拡大を重点戦略の一つに掲げる。首都圏での物件取得を進めるほか、沖縄では出資するテーマパーク「ジャングリア沖縄」が7月に開園した。「沖縄ではオリオンビールなど地元企業と連携しホテルや不動産事業を進めたい」と話した。

 また大阪上本町駅(大阪市天王寺区)一帯の再開発計画については25年度中に方向性を示し、28年度までに開業時期などの詳細を公表する。「周辺は生活する方も多い。商業施設や住宅、ホテル、オフィスなどを複合的に備えた街にする。日常の延長線上にある、お役に立てるような場所にしたい」と話した。【妹尾直道】

毎日新聞

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