豪雨被災者へ車貸し出し開始 日本カーシェアリング協会が熊本で

2025/08/26 08:15 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 10、11日に熊本県などを襲った記録的な大雨で、日本カーシェアリング協会(宮城県石巻市)は25日、自家用車が水没した被災者らに車の無償貸し出しを始めた。大雨では車の水没が相次いでおり、同日までに熊本県内で1156件の申し込みを受け付けたという。一方、貸し出し車両は不足しており、協会は車両の寄付を呼び掛けている。

 協会は東日本大震災(2011年)をきっかけに活動を始めた。これまで全国28の災害で9000件以上の車の無償貸し出しをしている。

 25日は熊本市西区の西部公民館で貸し出しがスタートし、早速利用者が手続きに訪れた。同区松尾で車両2台が水没した会社員、坂口潤さん(33)は納車3カ月の車が廃車となり、自宅も床下浸水した。「車がないと買い物ができず、日常生活が難しくなる。このようなサービスはとてもありがたい」と感謝していた。

 鹿児島県も今月上旬に大雨被害を受けており、協会によると、熊本、鹿児島両県で25日までに1600件以上の申し込みがある。しかし、貸し出し用に確保できているのは約130台と大幅に不足する。協会では両県で500台の確保を目指し、寄付を呼び掛けている。

 同協会の吉沢武彦代表理事(47)は「熊本の大雨は車を被災された方が非常に多いのが特徴だが、支援に使う車両が圧倒的に足りていない」と説明する。「車がないと生活再建に行き詰まってしまう。もし使わない車を手放すことを考えている方などは協会への寄付をお願いしたい」と語った。

 事前に電話や協会ホームページから申し込みをし、免許証や被災を証明する資料を提示すると、燃料代のみで車を利用できる。車両の貸し出しや寄付の申し出などの詳細は協会ホームページで紹介している。【野呂賢治】

毎日新聞

社会

社会一覧>