京大「吉田寮」明け渡し訴訟で和解成立 寮生は今年度中に一時退寮へ

2025/08/25 20:38 

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 大正初期に建築された京都大の学生寮「吉田寮」(京都市左京区)を不法占有しているとして、大学側が寮生に寮の明け渡しを求めた訴訟の控訴審は25日、大阪高裁(徳岡由美子裁判長)で和解が成立した。寮生全員が2026年3月までに一時退寮する。

 和解条項によると、大学側は寮生の退去後、速やかに耐震工事に着手し、5年以内に完了させるよう努める。工事期間中は大学側が代替宿舎を用意し、工事完了後に在寮資格がある希望者の入居を認める。退寮は一時的で、在寮契約の終了を意味するものではないとの文言も盛り込まれた。

 訴訟で争われていたのは、1913年に建築された木造2階建ての「現棟」と呼ばれる建物。寮生による自治会が管理・運営し、入寮者の募集も担ってきたが、大学側が老朽化を理由に2018年9月末までの退寮を求め、自治会が反発。大学側が19年4月以降、約40人に対して寮の明け渡しを求める訴訟を起こした。1審・京都地裁判決(24年2月)は、寮生14人については寮を明け渡す必要がないと判断していた。

 1審で入居継続が認められた寮生で、京都大大学院教育学研究科の大隈楽さんは和解成立後に記者会見し、「裁判で6年半もかかった。大学には寮生側と話し合いをして物事を決めてほしかった」と話した。大学側は「耐震性が不足する現棟に居住する全学生の退去が実現する見通しとなったことは大きな進展」とコメントした。【国本ようこ】

毎日新聞

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