自衛隊の統合演習 参加人員は過去最大規模 民間空港の利用拡大

2025/10/16 16:36 

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 陸海空3自衛隊に米豪軍が加わる実動訓練「自衛隊統合演習(JX)」が20~31日、全国各地で行われる。参加人員は過去最大規模となり、南紀白浜(和歌山県)と鹿児島(鹿児島県)の2空港に初めて自衛隊機を展開するなど、民間の空港・港湾の利用を拡大する。

 防衛省によると、自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を中心とする連携強化を主な目的に幅広い訓練を実施。自衛隊約5万2300人と米軍約5900人、豪軍約230人が参加し、自衛隊の艦艇約60隻と航空機約310機などを投入する。

 敵からの攻撃で自衛隊基地が使用不能になったとの想定の訓練では、F15戦闘機が数機ずつ、南紀白浜と鹿児島、奄美(鹿児島県)、徳之島(同)の4空港に一時退避するほか、鹿児島を除く3空港で滑走路に降下し急上昇する「タッチ・アンド・ゴー」を実施する。

 部隊や装備品の輸送訓練では、佐賀駐屯地(佐賀県)に移駐したばかりの陸自輸送機V22オスプレイ4機を長崎県内に展開。相浦駐屯地(長崎県)に拠点を置く「水陸機動団」を輸送する。また、陸自主体の海上輸送部隊として海自呉基地(広島県)に今春発足した「海上輸送群」の艦艇が、大分と別府の2港(大分県)で物資の積み下ろしに取り組む。

 自衛隊が有事に備え、普段から民間の空港・港湾の利用拡大を図る方針は、2022年改定の安全保障関連3文書に盛り込まれた。今回のJXは北海道から沖縄まで各地の空港7カ所と港湾15カ所を利用する計画で、前回23年に比べて空港は3カ所、港湾は5カ所増える。内倉浩昭・統合幕僚長は9日の定例記者会見で「オペレーションの抗堪性(こうたんせい)(攻撃に耐える強さ)、そして柔軟性を高めることができ、極めて意義がある」との認識を示した。【松浦吉剛】

毎日新聞

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