今年こそ「最下位脱出」関宿中 生徒数は最少 27人でタスキつなげ

2025/10/16 17:00 

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 ◇ひたむきに 励まし合い

 18日に開催される「第77回東葛飾地方中学校駅伝競走大会」(東葛駅伝)は6市から70校以上が参加し、中学駅伝では規模の大きい大会だ。各校は優勝やトップ10入りなどそれぞれの目標を掲げてレースに挑む。その中で野田市立関宿(せきやど)中は3年ぶりの最下位脱出を目指す。生徒数は57人と参加校中で最も少なく、走るのが苦手な子も多い。だが、全員が「今年こそは」と練習に汗を流し、意地を見せようとしている。

 残暑厳しい9月初旬。セミの鳴き声が響く夕暮れの校庭で、1~3年の20人超の生徒が1周200メートルを50~70秒のペースで15周走るメニューに取り組んでいた。

 疲労がたまる終盤には「頑張れ!」と先に走り終えた生徒が周回中の生徒に声をかける場面もあった。「互いに励まし合いながらひたむきに練習する。うちの良さです」。顧問の実方和也教諭(31)は温かいまなざしを生徒らに向けた。

 関宿地区は利根川と江戸川に挟まれ、茨城、埼玉両県との県境に位置する千葉県最北の地だ。江戸時代に城下町として栄え、終戦時の首相、鈴木貫太郎が幼少期と晩年を過ごした。2003年に野田市と合併した時点で、旧関宿町は3万人余りがいた。ただ鉄道の駅が徒歩圏内になく、働く場が少ないことなどを背景に人口は減少し、現在は約2万4000人まで減った。

 その地域を代表する関宿中も、全校生徒数がここ10年は50~60人台で推移する。東葛駅伝では苦戦を強いられ、過去2大会は最下位だった。前回も「最下位脱出」を掲げたが、かなわなかった。

 それでも生徒たちは毎年、伝統のたすきを途切れずつないできた。今年は27人が週4回、始業前と放課後に練習に取り組んでいる。

 調子は上々だ。8月の合宿で2000メートル走のタイムを測ると、上位10人の合計が昨年より10分近く速くなった。放課後や週末に走り込むなど自主練習を積む生徒もいる。

 昨年に続き1区を走る横内翔さん(15)は2000メートルのタイムが昨年より約30秒速くなった。「前回は自分の番から最下位だったが、今年は中位に食い込む」とリベンジに燃える。2区でたすきを受ける主将の藤久龍晴さん(14)も自主的に2000メートル走などを重ね、「少しでも上に行く」と雪辱を誓う。実方教諭は「1~3区が勝負。あとはどれだけ粘れるか」と展望する。

 一方で実方教諭は順位とは別に、生徒に大切にしてほしいことがある。「駅伝の魅力は完走後の達成感。走行中はしんどいけれど、困難の先にいいことがあると感じ取ってほしい」と話す。そしてこう続けた。「最後は駅伝をやって良かった、走るのが好きだと思ってくれれば、私はうれしいです」【中村聡也】

毎日新聞

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