愛知県半田市は１１日、全職員の５６％にあたる１０７３人に対し、時間外勤務の報酬が未払いだったと発表した。職員の公益通報に基づく調査で発覚した。約７６００万円にのぼり、市は１２月議会に関連する補正予算案を提出し、来年２月に支給する。

　市人事課によると今年２月、公益通報委員会に「始業前の準備や始業後の片付けなどへの報酬が支払われていない」とする匿名の通報があった。委員会は４～５月、２０２２年２月から３年間の時間外勤務の有無について、全職員１９２１人（退職者含む）を調べた。分析の結果、１０７３人の約３万７６８７時間が未払いと認定した。

　市は、長年にわたる全庁的な慣例が影響し、「組織全体で業務に対する適切な認識が欠如していた」ことが主な原因とした。職員自身の判断で所属長に申請をしなかった事例があった一方、一部の職場では「所属長に申請しづらい雰囲気があった」との声もあったという。市は時間外勤務の取り扱いの徹底を各所属長に改めて通知した。【町田結子】