米最高裁、同性婚の合憲性を再確認 判決見直しの申し立てを却下
米連邦最高裁は10日、南部ケンタッキー州の元郡職員が同性婚の憲法上の権利を認めた2015年の判決を覆すことを求めていた審理の申し立てを却下した。同性婚の合憲性について現時点で再確認した形だ。現在の最高裁は保守派が多数を占め、22年には女性が人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利を認めた歴史的判例を覆した。このため、同性婚を巡る判決も覆るのではないかとの見方が出ていた。
最高裁は通常、審理の申し立てを却下する場合は理由を説明しない。今回も説明はなく、審理しないという決定に異議を唱えた判事がいたかも明かしていない。
最高裁は15年、同性婚を憲法上の権利とし、法の下の平等を定めた憲法修正第14条に基づき「各州は同性婚を許可し、他州で認められた同性婚も受理する必要がある」と指摘。同性婚を禁止していた州法を違憲と判断した。
しかし、同州の郡職員だったキム・デービス氏は判決後も、同性カップルに対する結婚許可証の発行を自身の宗教上の信条を理由に拒否。連邦地裁から発行するよう命令を受けても、拒否し続けた。このため、法廷侮辱罪で数日間収監されたほか、同性カップルに訴えられた訴訟で、精神的苦痛を理由に5万ドルずつ損害賠償を支払うよう命じられた。
デービス氏は、同性カップルが結婚許可証を発行するよう求めることは、自身の宗教を自由に信奉する憲法修正第1条で保障された権利を侵害すると主張。25年7月、15年の判決を覆すかどうか審理するよう最高裁に申し立てていた。
◇最高裁保守化でリベラル派懸念
最高裁が同性婚の憲法上の権利を認めた判決を出した15年、判事の構成は保守派5人、リベラル派4人だった。保守派のうち穏健な立場だった判事1人がリベラル派4人と一緒に多数意見をまとめた。
しかし、穏健な保守派判事はトランプ大統領が1期目の18年に引退。トランプ氏はその後任に保守強硬派の判事をあて、さらにリベラル派の後任にも保守派をあてるなどしたため、現在は保守派6人、リベラル派3人と保守派に傾いている。
最高裁の判例は後に最高裁で覆されることがある。人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利もその一つだ。世論調査では中絶容認派が禁止派を大きく上回っていたが、最高裁は22年6月、その権利を認めた1973年の歴史的判決を覆した。保守強硬派のトーマス判事は判決の際に意見書を出し、同性婚の権利も再検討すべきだと示唆する考えを表明した。
これに対抗するため、バイデン前政権時の22年、民主党が主導する形で同性婚の権利を連邦レベルで保障する「結婚尊重法」を成立させた。
同法は、全ての州に同性婚の合法化を求めるものではないが、婚姻を「一人の男と一人の女による法的結合」と定義した96年成立の「結婚防衛法(DOMA)」を廃止し、全ての州で合法的に行われたあらゆる結婚の有効性を連邦政府が認める。ある州で合法的に行われた結婚は、別の州もその有効性を認めることを義務づけたものだ。ただし、最高裁が15年の判決を覆した場合は、個々の州が同性婚を承認することを拒むことはできる。
◇世論の支持に変化
米国内で同性婚に関する世論は大きく変わった。ギャラップ社の調査では、「同性婚が従来の結婚と同じ権利を持つ有効なものとして法律で認められるべきか」との質問に、支持する回答は右肩上がりに増えてきた。96年は3割弱だったが、15年は6割、21~25年は68~71%で推移している。
共和党支持層の同性婚に対する支持も同様に増加傾向にあったが、近年は様相が異なる。支持する人の割合は21、22両年に55%を記録した後、年々減少。25年は41%にまで低下した。民主党支持層では同年、支持は88%に上っており、支持政党別で大きな開きがある。【ワシントン西田進一郎】
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