紛失防止タグの悪用も規制対象に ストーカー規制法改正案を閣議決定

2025/11/11 09:06 

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 政府は11日、「紛失防止タグ」を無断で取り付け、位置情報を取得する行為を規制対象に加えるストーカー規制法改正案を閣議決定した。被害拡大を防ぐため、被害者からの申告がなくても警察が職権で加害者に警告を出せる規定も盛り込んだ。政府は、改正案を開会中の臨時国会に提出し、早期成立を目指す。

 紛失防止タグは、所持品に付けることで、なくした後の所在を無線通信でスマートフォンから把握できる。2000~3000円で市販され、2021年ごろから普及し始めた。

 それに伴い悪用も進んでいる。警察庁によると、紛失防止タグを使われて居場所を特定されるなどのストーカーに関する相談は、22年の113件から24年に370件へと約3倍に急増。25年は9月までで、24年の1年分を上回った。

 改正案では、紛失防止タグの無断取り付けやタグによる位置情報の取得を禁止する。位置情報を取得できる全地球測位システム(GPS)機器の悪用は21年の改正で規制されており、警察庁は「対象外だった紛失防止タグが使われるようになった」とみて対策を強化する。

 また、ストーカー被害を訴えていた川崎市の女性(当時20歳)が殺害された事件を受け、被害者の申し出がなくても警察の職権で加害者に警告できるようになる。

 より重い行政処分の「禁止命令」は現行法でも警察の権限で出せるが、証拠集めに時間がかかる。このため、数日で出せる警告にも職権が及ぶようにした。

 このほか、警察は探偵業者らに対して、ストーカー行為をする恐れのある人物に、相手の個人情報を提供しないよう求めることができる規定も追加する。違反すると業者は行政処分の対象となる。

 また、被害者の雇用主が被害の拡大防止の観点から、テレワークを認めるといった勤務形態への配慮や、ホームページからの個人情報の削除などに取り組むことも努力義務として盛り込んだ。【深津誠】

毎日新聞

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