「間違ったスピード」ブラジル大統領、温暖化対策訴え COP30

2025/11/11 10:04 

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 国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が10日、ブラジル北部ベレンで開幕した。今年は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を採択した2015年のCOP21から10年の節目に当たる。協定で合意した目標水準との差をいかに埋めるかが大きな焦点。日本からは石原宏高環境相が閣僚級協議に出席する予定。

 開会式で、ブラジルのルラ大統領は「私たちは正しい方向に向かっているが、スピードが間違っている。現在のペースだと地球の気温は(産業革命前より)1・5度以上上昇することになる。これは私たちが負うことのできないリスクだ」と対策の加速を訴えた。

 また、ルラ氏は「誤情報がはびこる時代において、反啓蒙(けいもう)主義者は科学的証拠だけでなく多国間主義の進展も拒否する。温暖化否定論者にもう一度敗北を与える時が来た」とも発言。人為的な地球温暖化を否定し、パリ協定から離脱を表明した米トランプ大統領を念頭に強い口調で非難した。

 ◇1.5度目標に隔たり

 国連が10日発表した分析によると、日本を含む113カ国が9日までに提出した温室効果ガスの削減目標を足し合わせても、35年時点の排出量は19年比12%減にとどまるという。世界の気温上昇を産業革命前と比べ1・5度に抑えるには35年に19年比60%減が必要とされ、隔たりは大きい。日本は35年度に13年度比60%、40年度に同73%削減する目標を提出している。【ベレン大野友嘉子、ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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