「保護者も支援」フリースクール開設 不登校児と障害児育てる元教員

2026/01/11 15:45 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 小学校教諭だった千葉県市原市の三村晋也さん(37)は、不登校の長男、心身障害のある次男を抱えて仕事を続けることが難しくなり、退職した。次に始めたのが「フリースクールオリコス」。不登校の子どもの受け皿となりつつ、保護者の働く場所を提供するユニークな取り組みが注目を集めている。【宮田哲】

 ――オリコス開設の経緯を教えてください。

 ◆次男(8)は重症心身障害があり、医療的ケアが必要で、預け先がありませんでした。妻も教員でしたが、次男を自宅でケアするため退職しました。

 その後、小学生の長男(9)が学校に行くのを渋るように。妻が長男に付き添って登校し、私は次男をみるため休職しました。

 この状況で教員を続けるのは難しく、次の仕事を考えた時に思ったのが不登校の子どもです。不登校の子どもに家庭訪問を重ねたことがありますが、結局何もできなかったという思いが残っていました。学校に行けず困っている子どもたちが幸せに生きられるよう、手助けができないかと考えて退職しました。

 ――開設はその半年後の2024年9月ですね。

 ◆小学生2人から始まり、今は小中学生19人が通っています。親が仕事を続けられるように、平日の午前8時から午後5時まで開所しています。

 利用料は、経済的に苦しくても通えるように抑えて月3万3000円(税込み)。市から保護者に利用料の補助、施設には運営費の補助があり助かります。

 保護者の仕事を支援して、子の世話との両立を図る取り組みも進めています。小さな子がいて、仕事をするのが難しい親が多いためです。スクールに来てパソコンのスキルを学び、スクールや在宅で仕事をしてもらいます。スクールが動画制作を受注し、保護者が編集作業を担当します。

 ――心がけていることは。

 ◆子どもたちが安心していられる場所にすることです。不登校になった子どもは学校のような場所には来ないでしょう。いつ来ても、いつ帰っても構わないし、思いのまま過ごしてもらいます。なるべくルールを設けず自由にしてもらいますが、度が過ぎると年上の子が注意してくれます。

 地域の方の畑で大根を抜かせてもらったり、施設の外にテントを張って泊まってみたりと、体験学習にも力を入れています。興味や関心の幅を広げてもらえたらと思います。

 ――子どもたちに変化はありますか。

 ◆初めは子どもたちは警戒しているのか、なかなか部屋に入ってきません。それが段々と周囲と会話するようになり、友達もできます。

 「毎日が楽しい、充実している」と実感すると、さまざまなことへの意欲もわいてくるように思います。体験学習に挑戦するようになったり、勉強しなかった子が少しはするようになったり。「ふさぎこんでいる」と相談された子が笑顔を見せると、ここを作ってよかったと感じます。

 ――今後、やりたいことは。

 ◆「将来の選択肢が見つかるよう、仕事体験の機会をたくさん作りたい」「東京の子どもたちに、スクール周辺の自然を体験してもらいたい」など、たくさんあります。そんな夢を大人が楽しそうに語ることも子どもには大切ではないでしょうか。「大人も人生を楽しんでいるんだな、将来こうなりたいな」。そう感じることは生きる力になると思います。

 ◇みむら・しんや 

 千葉県袖ケ浦市出身。2011年に流通経済大卒業後、袖ケ浦市などの小中学校で講師や教諭として勤務。24年3月に退職し、9月にフリースクールオリコス(市原市高滝)を開設。

毎日新聞

社会

社会一覧>