祖国思う仲間に憩いと交流を 避難のウクライナ女性が料理店 横浜

2026/02/09 07:15 

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 横浜市南区にウクライナの伝統料理が楽しめるレストランがある。ロシアによる侵攻でウクライナから避難してきたコロモエツ・リリアさん(48)が、2025年10月に開いたレストラン「Colibri House(コリブリ・ハウス)」だ。同じ避難者が憩い、日本人との交流を深める場となることを願い、日々腕を振るう。

 リリアさんは東部ドニプロペトロフスク州に住み、幼稚園の給食を作る仕事をしていた。だが、22年2月にロシアによる侵攻開始が始まり、日本人男性と結婚し来日した長女カテリーナさん(30)から避難するよう促された。

 一度は「なぜ自分の国から逃げなければいけないのか」と拒んだが、サイレンが毎日鳴り続け、安心して眠ることができなくなった。同居する次女ミラーニアさん(15)の安全も考え、決断した。

 横浜市に避難し、2年間はホテルでアルバイトをした。日本語が分からなかったが、従業員が繰り返しベッドメークや清掃の仕方を教えてくれたという。現在も娘たちの通訳が必要だが、コミュニケーションについては「日本人はすごく優しいから大丈夫」と笑みをこぼす。

 知り合いの協力の下、得意な料理の腕を生かして22年10月から23年4月まで毎月1回、横浜市中区宮川町でウクライナ料理の食堂を開いた。50食限定だったが店は大盛況で、初めてウクライナの料理を食べた来店客が「おいしい」と言ってくれたことがうれしかった。

 一方、母国はロシアによる侵攻開始から24日で4年となる。ドニプロペトロフスク州の被害は深刻化し、インフラが崩壊された。現地に住む母の家では電気は1日2時間しか使用できず、夜はランタンやろうそくの明かりで過ごしているという。「発電機が壊れたら、母と連絡を取ることができない。母が亡くなったとしても、知る手段がない」と不安も口にする。

 同じように祖国を心配している避難者に居場所を作り、料理を食べて喜んでもらいたいと、店をオープン。店名は幸せを運ぶ鳥とされるハチドリを意味する「コリブリ」から取った。スペアリブやビーツなどの野菜が入ったスープ「ボルシチ」、ウクライナ風ギョーザ「ヴァレニキ」などの伝統的料理を提供する。

 「戦闘が続いているが負けずに今できることを精いっぱい頑張りたい。今後は店を大きくして、たくさんの人にウクライナのことを知ってほしい」と語る。【清水夏妃】

 ◇コロモエツ・リリアさん

 1977年生まれ。ウクライナ東部ドニプロペトロフスク州出身。母国では幼稚園で給食作りを仕事にしていた。ロシアの侵攻に伴い、2022年4月に日本に避難。同年10月にウクライナ食堂を開き、現在は娘2人とレストラン「Colibri House」を営む。営業時間は午後5時~11時。月曜は定休。

毎日新聞

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