東大、沖縄で収集の遺骨の保管継続を発表 市民団体は抗議

2026/02/21 13:15 

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 明治から昭和にかけ、沖縄県内の墓などから研究者らに収集された、少なくとも31体分の遺骨を保管する東京大が19日、関係自治体の意向を受けて保管を継続すると発表した。収集地である同県と県内5市町村に、東大から連絡して今後の取り扱いを照会し、全自治体から「引き続き東大で保管することが望ましい」旨の回答を得たとしている。

 一方、2025年12月に保管を公表した東大に謝罪と返還を求めて抗議していた市民団体「ニライ・カナイぬ会」の共同代表、松島泰勝・龍谷大教授は無視される形となった。松島教授は今回の発表を受けて20日、「各地(自治体)の教育委員会に遺骨の保管、研究継続に関して最終的な権原はない。永続的に保管されれば先祖崇拝という信仰、慣習を継承できず、国際法、憲法に違反する」などとして改めて抗議文を送った。

 東大は12月12日に「保管している沖縄県由来の人骨について」の報告書を公表。収集地別で中城村が頭骨18点、今帰仁村が同1点、那覇市が同4点ほか、石垣市が同3点、与那国町が同1点、市町村不明が同1点ほかとし、箱のラベルに琉球と書かれているものの欧州人とみられるなど不明な「その他」が同3点としていた。

 沖縄からの遺骨の保管リストを25年11月にホームページに掲載した京都大とは異なって収集経緯の説明はあったが、保管の是非についての見解や謝罪はなく、返還・移管に関する言及もなかった。

 同会は先祖の遺骨を研究対象物として扱っているとして、12月21日付で東大に抗議文を送付。琉球民族を先住民族として認めて対応するよう求め、東大がハワイやオーストラリアの先住民族の遺骨を返還していることにも触れて「ダブルスタンダードは認められない」と訴えていた。

 京大が一方的にリストを掲載するだけで関係自治体にも個別連絡しなかったのに対し、東大は判明している関係自治体全てに連絡して意向を尋ねた。今回の発表では「自治体の皆様からお寄せいただいた信頼を厳粛に受け止め、ご意向を踏まえ、研究機関として、引き続き、適切かつ最善の状態で保管・管理に努めます。今後、新たな事実が明らかになった場合には、改めて関係自治体と協議のうえ、保管のあり方も随時検討します」としている。

 これに対し、松島教授は再度の抗議文で「人の遺骨は文化財ではなく教育委員会の管轄対象ではない。当該遺骨の遺族、コミュニティーの団体と話し合い、同意を得るインフォームドコンセントのプロセスを踏んでいない」と指摘。「我々を排除した形で保管継続を決定したことは、琉球民族の先住民族としての遺骨返還権を定めた国連宣言や、憲法の信教の自由に違反している」と批判し、東大に反省と謝罪、元の墓への返還を求めている。【太田裕之】

毎日新聞

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