タイ下院総選挙の開票作業に疑義 一部投票所で再選挙を実施
8日に実施されたタイの下院総選挙を巡り、開票作業に疑義が生じ、一部の投票所で再選挙と再集計が実施される。有権者からは不備を指摘する声が相次ぎ、選挙管理委員会は対応に追われている。
再選挙が行われるのは、バンコクや東北部ウドンタニ県など4カ所の投票所で、うち3カ所は22日に実施される。残る1カ所の実施日は未定。再集計は北部ペチャブン県など8カ所が対象で、投票用紙の破損などが確認されたという。
総選挙は8日に即日開票され、アヌティン首相率いる保守系与党の「タイの誇り党」が第1党となることが確実となった。地元メディアは選管の非公式集計を基に、獲得議席は誇り党193▽革新系野党の「国民党」118▽タクシン元首相派の「タイ貢献党」74――などと伝えていた。
一方、開票直後から各地で運営の不備が指摘された。選挙監視団体「Vote62」によると、候補者の得票が本来より少なく集計されたり、有効票が無効とされたりする事例が報告された。不備や不正を訴える報告は17日時点で5100件を超えたという。
投票用紙に投票者の特定につながりかねないバーコードやQRコードが記載されていたことも判明した。選管は偽造防止が目的で、実際に特定するのは容易ではないと説明したが、政治学者らは「投票の秘密」が損なわれる恐れがあると問題視する。選管の対応は後手に回り、有権者の不信感は高まっている。
ただ、今のところ再選挙と再集計は限定的で、大勢には影響しない見通しだ。誇り党はすでに貢献党と連立政権樹立で合意しており、他の少数政党も加えた誇り党主導の新政権が覆る可能性は低い。アヌティン氏は「選挙の実施責任は選管にあり、政府はプロセスに一切関与していない。ルールに従うだけだ」と述べ、静観の姿勢を示している。【バンコク武内彩】
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