伊方原発3号機訴訟、運転差し止め認めず 山口地裁岩国支部
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は安全性に問題があるとして、対岸の山口県の住民ら162人が運転差し止めを求めた集団訴訟の判決で、山口地裁岩国支部は26日、住民側の請求を棄却した。小川暁裁判長は、地震や火山噴火リスクに対する安全対策に不合理な点はなく「住民の生命、身体を侵害する具体的危険性は認められない」と述べた。
伊方原発を巡っては周辺自治体の住民らが運転差し止めを求めて仮処分申請や集団訴訟を複数起こしている。そのうち仮処分では2017年と20年、それぞれ広島高裁が差し止めを命じる決定を出し、いずれも異議審で取り消された。一方、集団訴訟は計4件起こされ、大分、広島、松山の各地裁も25年3月までに請求を棄却し、住民側敗訴が続いていた。
原告は、事故時に避難対象となる原発から30キロ圏内に一部が入る山口県上関町の住民らで、17年に提訴した。
住民側は、伊方原発が南海トラフ巨大地震の震源域にあることや、原発沖約600メートルに活断層がある可能性を指摘し、地震で過酷事故が起きる可能性が高いと主張。原発から約130キロ離れた阿蘇山(熊本県)が「破局的噴火」をすれば火砕流が原発まで及ぶ危険性もあるとし、安全対策が不十分と訴えていた。
一方で四電側は、付近に危険な活断層がないことは調査で確認しているとした上で「原発は十分な耐震性を有している」と反論。運用期間中に阿蘇山の巨大噴火が起こる可能性は低いとし、請求棄却を求めていた。【森永亨】
◇四国電力伊方原発
四国電力が運転する唯一の原子力発電所。九州に向かって細長く延びる佐田岬半島の瀬戸内海側(愛媛県伊方町)に立地する。3号機(出力89万キロワット)は1994年に運転開始。2010年からはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電で稼働している。11年3月の東京電力福島第1原発事故後に定期検査に入ったが、原子力規制委員会による新規制基準の安全審査に合格し、16年8月に再稼働した。1号機、2号機(いずれも出力56万6000キロワット)は巨額の安全対策費などを理由に運転終了が決まり、廃炉作業が進められている。
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