成田空港の滑走路新設 用地の「強制収用」検討 6月にも決定

2026/04/01 20:57 

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 成田空港(千葉県成田市)の滑走路新設・延伸を巡り、成田国際空港会社(NAA)が、土地収用法に基づく「強制収用」の手続きを検討している。用地取得の遅れが理由。国土交通省に近く報告し、住民への説明などを経て早ければ6月にも正式決定する。関係者への取材で判明した。

 一方で、2029年3月を目標としていた新滑走路の供用開始時期は、少なくとも1年以上延期される見通しだ。

 NAAは25年から、既存のB滑走路(2500メートル)の1000メートル延伸と、C滑走路(3500メートル)新設の工事を進めている。インバウンド(訪日客)需要の拡大を見込み、年間発着枠を現状の34万回から50万回に拡大するためで、「第2の開港」と位置づけられている。

 空港面積がほぼ2倍に拡大することから、新たに1099ヘクタールの用地が必要とされ、千葉県芝山町と多古町の計約200戸が移転対象となった。NAAは国交省の指示を受け、今年3月末までの用地取得を目指したものの、交渉は難航。2月20日現在の確保率は88・4%、民有地(743ヘクタール)に限ると82・9%にとどまる。NAAの藤井直樹社長は3月に「極めて厳しい状況」との認識を示していた。

 NAAが今後、強制収用の手続きを進める場合、まず国交省から事業の公益性などを踏まえ、手続き開始の認定を受ける。そのうえで都道府県の収用委員会に土地の明け渡しの裁決を申請し、審理で認められれば強制収用が可能となる。

 成田空港については、開港前から「成田闘争」と呼ばれる激しい建設反対運動が起こる中、1971年に建設用地の強制収用が実施された。90年代になると、問題解決に向けて国や反対派が公開のシンポジウムで話し合うなどし、NAAの前身の新東京国際空港公団や国は、強制収用を事実上放棄。以後、土地収用法に基づく用地取得はなく、裁判による手続きが行われている。

 こうした経緯から、NAAが再び強制力のある手続きに踏み切れば大きな方針転換となり、反発も予想される。【合田月美】

毎日新聞

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