被爆70年後の肺がんから原爆由来のウラン 研究の専門家が講演
広島で入市被爆してから70年後の女性の肺がんの組織内で原爆由来とみられるウランが放射線を出しているのを確認したとする論文を発表した高辻俊宏・長崎大名誉教授(放射線生物物理学)が27日、長崎市で講演した。高辻さんは、放射線を検出した周辺で異常な球体が見つかったとして「内部被ばくによって肺の組織がダメージを受けていることが確認された」と説明した。
高辻さんや責任著者の七條和子・長崎大大学院客員研究員らによる研究論文が4月、オンラインの学術誌「ヘリヨン」に掲載された。これを受け、被爆体験者らでつくる「長崎被爆地域拡大協議会」が講演を依頼した。
高辻さんらによると、組織を提供した女性は被爆当時8歳。原爆投下から3日後に広島市内に入った。それから70年後の2015年に口腔(こうくう)咽頭(いんとう)がんで死亡し、肺がんを併発していた。
女性の死後、高辻さんらは女性の肺腫瘍などの組織を写真乳剤に浸す特殊な方法で調べ、広島原爆で使用された核物質であるウラン235が放射線の一種「アルファ線」を出している痕跡(飛跡)を検出した。
さらにその周辺で、直径が飛跡の長さの約2倍となる異常な球体ができているのを確認。高辻さんは、がん細胞が増殖する組織内で異常な球体ができ、潰れたり線維化したりしながらくっつき合って大きくなっていくとの見方を示した。
耳を傾けた被爆体験者の松下明則さん(87)は81年前、爆心地の東約10キロの旧古賀村(現長崎市)で原爆に遭った。燃えかすが降り注いだ水くみ場の水を飲み、灰が積もった畑の野菜を食べた。松下さんは「姉は胃がんで入退院を繰り返している。内部被ばくが一番の心配だ」と語った。
長崎被爆地域拡大協議会の山本誠一事務局長(90)は「内部被ばくの実態を明らかにしていく上で歴史的な研究発表だ」と語った。【樋口岳大】
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