広島の被爆体験伝承者、小学校で講話会 未来への思い託す 三重
原爆の被爆体験を聞く講話会が19日、三重県東員町の町立三和小学校で開かれた。広島市の被爆体験伝承者、仁木美恵さん(73)が、被爆者の切明千枝子さん(96)の体験を4~6年生53人に伝え、「平和はつかみ取り、守らないと逃げてしまう」との切明さんの思いを、未来を築く子どもたちへ託した。
同校は、被爆の実態を子どもたちに伝える授業を昨年に始めた。
仁木さんは、被爆者らが描いた被害実態を伝える絵を見せながら、切明さんの体験を話した。当時15歳だった切明さんが屋外にいた時に原爆が投下され、頭に無数のガラスの破片が刺さったまま学校へ戻った。しばらくすると、爆心地近くで家屋解体作業に従事していた下級生らが戻ってきたが、両手両足の先から焼けた皮膚が垂れ下がり、幽霊のような姿だった。
理科室の大きな机に寝かせると、下級生らは口々に「水をちょうだい」と訴えた。切明さんは「飲んだら死んでしまう。がまんして」と説得したが、「死んでもいいから」とせがまれた。切明さんは被爆体験を語る時、「地獄でございました」と話すという。
切明さんはその後、急性放射線障害が表れ「良かった。これで皆と同じように死ねる」と思った。命を取り留めたが、亡くなった友人の親が「なんであんた生き残っているの」と言っているように思え、今も「生き残ってしまった」という苦しみが消えないという。
仁木さんは1時間の講話の最後、「知ったことを考え、聞いた話を誰かに伝えてください」と子どもたちに語りかけた。講話終了後、6年生の広田愛莉さんは「原爆は皆にものすごい苦しみを与えることが分かった。そんな苦しみを感じなくていい、戦争のない世界にしなければと思った」と話していた。【荒川基従】
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