<追跡公安捜査>「裁判官に絶望、まるで悪魔」 大川原冤罪、遺族が意見陳述
化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件で、保釈を認めなかった裁判官ら計37人の判断の違法性が問われた訴訟の第1回口頭弁論が29日、東京地裁であった。勾留中に胃がんが見つかりながら保釈されずに亡くなった元顧問の相嶋静夫さん(享年72)の長男(52)が意見陳述し、「裁判官には絶望した。まるで悪魔と対峙(たいじ)しているかのようだった」と心情を明かした。
長男は神奈川県内の病院で臨床工学技士として働く。勾留中の相嶋さんを受け入れる病院が見つからず、自身の勤務先に相談して入院できた経緯がある。
この日の法廷で長男は「職場には父の逮捕を隠していたが、もはやそんな状況ではなかった。父は入院当初、『殺されるところだった』と語っていた」と振り返った。幼い頃から相嶋さんに「人の役に立つ人間になりなさい」と教えられていたといい、「うそをつかず真面目に生きてきた父が、被告の立場のまま人生の最期を迎えさせられた」と悔しさをにじませた。
意見陳述では、相嶋さんの保釈請求を却下し続けた裁判官を強く非難。「裁判官には血の通った精神が欠如していると絶望した。人間の命より、手続きを優先する精神構造が全く理解できない」と語った。
今回の訴訟は、裁判官の保釈却下などの判断について、他の裁判官が審理する異例のケースとなる。長男は「裁判官の発した逮捕状を見せられたとき、保釈請求却下の決定を見たとき、真実を知る父にとってどれほどの絶望であったか。あなたたち裁判官は、一人の人間として想像できなければならない。あなた方の良心に期待している」と壇上に座る3人の裁判官に訴えた。
相嶋さんは2020年3月に外為法違反容疑で逮捕・起訴され、約7カ月後に胃がんが判明。20年11月に勾留が一時停止されて入院したものの、21年2月に亡くなった。遺族は、逮捕状や勾留状の発布、計7回にわたる保釈請求の却下の判断に関わった裁判官の責任を求め、約1億6800万円の損害賠償を国に求める今回の訴訟を起こした。【遠藤浩二】
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