下水処理熱でウナギ養殖 「温水かけ流し」試験に成功 浜松

2026/08/21 11:15 

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 浜松市の下水処理施設を運営する会社が、施設から出る熱を利用した温水を使ってウナギを育てる事業に取り組んでいる。汚水の処理・管理専門の企業にはお門違いとも言える養鰻(ようまん)だが、開始1年半で「試験段階の成功」を収めた。20日にあった試食会での評判は上々で、「温水かけ流し方式養殖」と呼ばれる事業の今後が注目される。

 会社は、浜松市中央区松島町にある下水処理施設「市西遠浄化センター」に本社を置く「浜松ウォーターシンフォニー」(熊谷真純社長)。市上下水道部の委託を受けて、2018年4月からセンターを運営している。

 同社は、浜松の地場産業・養鰻に着目。施設で汚泥処理などで出る100度以下の熱を飼育用温水(井戸水を適温28度まで加温)に活用することで、養殖に要する燃料費や電気料の節約につながるなどのメリットを勘案し、浮かんだのがかけ流し養殖だった。下水処理施設を利用した「全国初の試み」(同社)で、「かけ流し」でウナギは育つのか、といった問題の解決に手を差し伸べたのが「浜名湖うなぎ」の養殖業者らによる「浜名湖養魚漁業協同組合」だ。

 養殖中に生育不良となったクロコと呼ぶウナギの稚魚の提供や技術的アドバイスなどを得る契約を組合と締結。昨年5月に200匹のクロコの提供を受け試験開始。今年3月からは800匹で2回目に取り組んだ。試験のため、施設から出る熱ではなく、温水器を使って井戸水を温めて使用している。

 ウナギの飼育に最適な水質管理など同社の持つ技術もあり、2段階目の試験で得られたのは、当初の計画をはるかに上回る養殖密度や適切な出荷サイズの達成度、水の入れ替え頻度の少なさだった。全体として当初の約30倍の生産効率を達成。浜松地区の養殖業者1軒の生産量を上回る年間90トン程度出荷できるデータという。「成功」を受けて、同社は組合と共同で、下水処理施設でのかけ流し養殖の特許を申請。今後、実際の下水処理施設から出る熱を利用しての「実証試験」段階に入る予定だ。

 20日にセンター内であった事業報告と試食会には、浜松市の中野祐介市長や、組合の外山昭広代表理事ら関係者が出席。試食した中野市長は「高級ウナギと全く変わらない味だ」と舌鼓を打っていた。【照山哲史】

毎日新聞

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