足で勢いづける敦賀気比の「小さな巨人」 1試合3盗塁、岡部飛雄馬
◇選抜高校野球1回戦(19日、甲子園)
◇○敦賀気比(福井)15-0滋賀短大付●
敦賀気比の「小さな巨人」が躍動した。主将の岡部飛雄馬は俊足を生かして3盗塁を決め、リードオフマンとしてチームに勢いを呼び込んだ。
見せ場はいきなりやってきた。一回に先頭打者として死球で出塁すると、「初球から行こうと決めていた」。即座に盗塁を決め、先制点につなげた。
続く二回にも四球で出塁してから初球で二塁を陥れた。「好機を作って1本(適時打を)出すのが今年のチームの形。少しでも早く形を作りたくて、初球から走ろうと決めている」と岡部。七回にもこの日三つ目となる盗塁を決め、「走塁面でチームに勢いは作れたかな」とうなずいた。
50メートル6秒0の俊足に加え、この冬は走塁で最も意識しているというスタートの速さを磨くため、短いダッシュの練習を毎日欠かさず繰り返した。投手をつけて走るうちに、投手の動き出しを察知する肌感覚が養われたという。冬場の鍛錬が初戦でさっそく実を結んだ。
父が漫画「巨人の星」の主人公にちなんで名付けた飛雄馬の名前。好きな言葉は「小さな巨人」だ。165センチ、66キロと小柄ながらも攻めては俊足の1番打者として、守っては内野の要である遊撃手として1年生から公式戦に出場してきた。「ちっちゃいからなんやねんというか、そんなのは関係ないというのをプレーで見せたい」と意気込むガッツもある。
昨年の選抜も先発で出場し、「自分は1回甲子園に足を踏み入れていて、ここがどういう場所かを知っている。それを周りに伝えることを意識していた」。試合後、そう淡々と語る背中は大きく見えた。【吉川雄飛】
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