警察庁は、実在する警察署や警察本部の電話番号を相手方の電話に表示させてだます特殊詐欺の手口が急増しているとして注意を呼びかけている。

　相手方に「捜査対象になっている」とうそを言い、資金調査などの名目で現金をだまし取る手口。警察庁は同様の電話があったら「一旦電話を切り、相談ダイヤル（＃９１１０）に連絡してほしい」としている。

　警察庁によると、特殊詐欺を巡って２０２４年１月以降、警察署の番号を偽装した電話が８４８件確認されている。うち警視庁新宿署が７８８件に上った。愛知、北海道などの警察署の番号もあった。警察本部の番号を装った電話も６１０件あり、警視庁１７１件、兵庫９４件などだった。

　多くの警察署で使われている末尾が「０１１０」の番号からの電話も増加。２４年１月は５件だったが、２４年夏ごろから急増し、今年１月は１１７７件、２月は２２３９件に上った。

　特殊詐欺では近年、番号が「＋」で始まる国際電話の使用が目立っていたが、「＋」が付かない番号を表示させるケースも出てきているという。

　警察庁によると、番号を変えて相手方の電話に表示させられるアプリやソフトウエアが海外で流通している。警察庁は総務省や通信事業者と連携し、防止策を検討する。

　警察官を装った特殊詐欺事件は今年１～２月に計１０３９件（速報値）確認され、被害額は約１０６億円に上った。【山崎征克】