「体が反応した」聖光学院のサヨナラ呼び込んだバスター センバツ

2025/03/22 19:25 

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 ◇選抜高校野球1回戦(22日、甲子園)

 ◇○聖光学院(福島)4―3常葉大菊川(静岡)●

 延長タイブレーク3イニング目の十二回までもつれた激闘。サヨナラ勝利への道をこじあけたのは、手堅い野球が身上の聖光学院が仕掛けた思い切りのいいプレーだった。

 3―3の延長十二回無死一、二塁、右打席には十一回から登板した背番号「10」の管野蓮。斎藤智也監督からのサインは「送りバント」。ただ、一塁手がバントを警戒して前に出てきた場合は「バスターで打て」の指示だった。

 真ん中に甘く入った初球に対して、「バントは苦手なので、ゴロの確率が高いヒッティングにした。体が反応した」。結果は右前打。二塁走者は好返球によりホームでアウトになったが、1死一、三塁と好機を広げ、最後は鈴木来夢のサヨナラ犠飛で決着がついた。

 聖光学院の選択に、常葉大菊川の石岡諒哉監督は「二塁手には『バスターあるぞ』とは言っていたが、あそこできっちり野手がいないところに打てる(相手の)チーム力が一枚も二枚も上だった。甘かった」と嘆いた。

 管野は昨秋は背番号「1」を背負っていた。今大会はエースナンバーを譲る形となったが、主将の竹内啓汰は「管野がマウンドに上がると、空気が変わってピリッとするし、守備のリズムも良くなる。チームへの影響力が大きい存在」と話す。

 管野は十二回の守備で無失点に抑えるなど、投手の役割も全うした。斎藤監督も認める強心臓を持つ殊勲者は「野球の神様が味方してくれたのかな」と喜んだ。

 延長タイブレークで2度も追いつく驚異の粘り強さを見せた。甲子園常連の斎藤監督はしみじみと言った。「苦しい試合だったけど、この試合を乗り切れたのは大きい。素晴らしい経験ができた素晴らしい一日だった」【磯貝映奈】

毎日新聞

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