自民支持層も「石破離れ」 商品券問題が直撃 毎日新聞世論調査

2025/03/23 08:00 

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 自民党支持層の石破内閣の支持率が急落した。毎日新聞が3月15、16日に実施した全国世論調査で先月比12ポイント減の59%と落ち込み、発足以来初めて6割を切った。石破茂首相が自民党衆院1期生に1人10万円の商品券を配った問題が政権の足元をも直撃している。

 ◇政党支持率は横ばい

 調査は、スマートフォンを対象とした調査方式「dサーベイ」で実施した。NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象としたアンケートサービスを使用し、全国の18歳以上約7000万人から調査対象者を無作為に抽出。2047人から有効回答を得た。

 自民支持層の石破内閣の支持率は、1月に65%まで下落したものの、発足以降、70%前後を維持していた。支持率が下落傾向にある中、今回の内閣を支えてきた自民支持層の「石破離れ」は、政権にとって大きな打撃だ。

 調査によると、全体の支持率も先月比7ポイント減の23%で、発足以来最低だった。一方で政党支持率は、自民19%(先月比1ポイント増)、国民民主党16%(同2ポイント増)、立憲民主党11%(同1ポイント増)、日本維新の会4%(同1ポイント減)のほか、「支持政党はない」が39%(先月と同じ)と最多で、各党ともほぼ横ばい。政党支持率に変動がないまま、内閣の評価が落ちていることになる。

 ◇政策は評価

 実は自民支持層の政策評価は比較的高い。3月調査で、野党の主張を一部取り入れた形で来年度予算案を修正したことについて尋ねると、57%が「評価する」と回答。8月に予定していた高額療養費制度の負担上限額の引き上げを見送ったことについても「評価する」が58%と高かった。

 また、所得税がかかり始める「103万円の壁」を巡り、多くの納税者が年2万円程度の減税になるよう所得に応じた壁の見直しを行ったことについて、「評価する」が50%と「評価しない」(23%)の倍を占めた。所得制限なしの高校の授業料無償化に関しては、再来年度から私立高校を対象にすることについて「評価する」が32%にとどまったものの、来年度から公立高校を対象にすることについては「評価する」(46%)が「評価しない」(42%)を上回った。

 しかし、商品券の問題に関しては違った。「問題だとは思わない」が27%だったのに対し「問題だと思う」が63%を占め、自民支持層でも厳しい目が向けられていることが分かる。内閣の不支持理由について見てみると、2月調査で28%だった「政策に期待できないから」が12%に大きく低下。反対に「首相の指導力に期待できないから」が64%から78%に増加している。商品券問題が影を落としていると言えよう。

 ◇「政治とカネ」対応、期待されていたのに…

 なぜ、商品券問題がここまで響くのか。

 石破内閣は、自民党が派閥の裏金事件で揺れる中、発足した。2024年10月の衆院選で大敗し、石破内閣は少数与党内閣に陥ったが、11月の調査で石破首相が「辞任すべきだ」との回答は全体で24%、自民支持層で13%にとどまった。半面、裏金事件の実態解明については「続けるべきだ」が全体で71%、自民層に限っても65%に上っており、自民層を含め「政治とカネ」の問題への対応を期待されていたことがうかがえる。

 しかし、今回、その石破首相本人に「政治とカネ」に絡む問題が浮上した。支持層に期待があった分、裏切られたとの思いが広がった可能性がある。与党内でも「『政治とカネ』とは遠い存在と思われていたのに、石破さんの良さを自分で消してしまった」との見方は多い。今夏の参院選で改選対象となる自民党の山下雄平議員は「地元をまわると批判の声を多く聞き、厳しい状況を肌で感じる。有権者に向き合い、覚悟して選挙戦に臨む」と話した。【野原大輔】

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