日本製鉄瀬戸内・杉本 「球が遅いなりにできる」投球術 都市対抗

2025/09/03 21:04 

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 ◇第96回都市対抗野球大会2回戦(3日・東京ドーム)

 ◇○東京都・鷺宮製作所4―0姫路市・日本製鉄瀬戸内●

 真っすぐは130キロ台。魔球もない。それでも、知恵と工夫で打者を抑えることができる。姫路市の左腕・杉本壮志が追い求めるのはそんな姿だ。

 二回1死一、二塁のピンチで「らしさ」を発揮した。8、9番に対し、真っすぐと球速差の少ないカットボール、直球と同じ軌道から沈むチェンジアップを織りまぜた。2者連続の空振り三振で窮地を脱し、悠々と引き揚げた。

 だが、三回に2ランを浴び、4回5安打2失点で降板。わずかな制球の甘さを見逃してくれなかった。5回1失点だった1回戦に続いて先発を任されたが、悔しさの残る59球だった。

 大体大から入社3年目。学生時代は140キロを超える直球を投げ、昨年も都市対抗のマウンドに立ったが、昨夏から今春まで満足に投げられなかった。左肩を痛めていた。医師からは「肩の骨が削れている。痛みと付き合うしかない」と告げられた。

 復帰までの時間で自分を見つめ直し、「球が遅いなりにできることがある」と行き着いた。直球は力を入れるだけでなく、あえて遅くして変化球との球速差を少なくする。変化球こそ腕を振り、打者を惑わせる。投球術を磨き、大舞台に戻ってきた。

 チームは復活の途上だ。1回戦で14年ぶりの白星。1991年以来の8強が次の目標となる。「僕も負けないピッチングをしたい」と杉本。25歳の挑戦は続く。【石川裕士】

毎日新聞

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