5年ぶりJ1にあと一歩届かず 徳島サポーター、肩落とし泣き崩れる

2025/12/14 09:50 

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 悲願だった5年ぶりJ1まで、あと一歩届かず――。徳島ヴォルティスが13日、J1昇格をかけてジェフユナイテッド市原・千葉とのプレーオフ決勝に臨み、0―1で敗れた。敵地フクダ電子アリーナに乗り込んだ熱烈なサポーターたちはがっくりと肩を落とし、人目もはばからず泣き崩れる人もいた。【山本芳博】

 サポーターの中に徳島市の畑山翔太郎さん(29)がいた。飲食店で働きながらヴォルティスを応援。売り出し即完売となったこの日の徳島側応援席チケットを手に入れ、最前列に陣取った。スタンドはジェフのユニフォームの黄色一色で完全なアウェー。それでもヴォルティスのサポーターたちは旗を振り、畑山さんは拳を突き出し声をからした。

 サッカー少年で、小学時代に友人の誘いでヴォルティスの試合を観戦。そのころからのファンだ。推しは岩尾憲主将。「苦しんだ先にしか栄光はない」など数多くの岩尾語録があり、人間性に魅了されている。

 ◇試合終了の笛で涙ぐむサポーター

 アウェーのヴォルティスは前半から押され気味。後半ジェフが先制すると応援席から「あー」と悲鳴が起きたが、すぐに応援歌が再スタート。徳島は何度もゴールに迫るが得点できない。終了の笛が鳴った瞬間、応援歌はやみ、立ち尽くす人、しゃがみ込む人、涙ぐむ人……。

 増田功作監督があいさつに来ると、畑山さんは涙で顔がくしゃくしゃに。岩尾主将ら選手たちには「どこまでも付いていく!」と叫んだ。選手たちが整列し一礼して去ると応援タオルで顔や頭を覆い、最前列の手すりに顔を伏せて泣いた。

 気持ちが静まった畑山さんが、試合を振り返った。「前半はジェフが押していた。後半に入りヴォルティスも攻撃がつながり始めたが、相手への1対1のマークが一瞬外れた」。これでフリーとなったジェフの選手が一気にボールを運び、ゴールを決められた。

 「相手へのマークが外れるのは年間通じての課題だったが、それが出てしまった。J1に昇格できなかったのは今日の試合だけでなく、これまで勝てる試合を引き分けにし、取りこぼした結果だ」と指摘。「とにかく悔しいのひと言に尽きる」と結んだ。

 ◇徳島本拠地のPVに1500人集結

 徳島県鳴門市のポカリスエットスタジアムではパブリックビューイングが開催され、サポーターら約1500人がスタンドやフィールドに陣取り、大型ビジョンで試合を見守った。後半、ジェフ千葉のゴールが決まると悲鳴が上がった。

 妻と生後10カ月の長女を連れ観戦に来た徳島市の会社員、由井恭平さん(37)は「得点された場面ではガクガクと膝が崩れた。JIを逃して悔しいけど、今後も応援します」と話し、会場をあとにした。【井上英介】

毎日新聞

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