オーストラリア・シドニーの人気観光地ボンダイビーチ付近で１４日、銃撃があり、地元警察当局によると、１１人が死亡し、警察官２人を含む２９人が負傷した。現場近くではユダヤ教の祭典「ハヌカ」が開かれており、アルバニージー首相は参加したユダヤ人らが狙われたとみられると明かした。警察当局は事件を「テロ」と断定した。

　警察当局によると、現場では銃撃に絡んで２人が拘束され、１人は死亡し、もう１人は重体。事件後、爆発物とみられる荷物を積んだ車両が現場付近で発見され、爆弾処理班が対応に当たっているという。祭典には１０００人以上が参加していたとみられている。

　アルバニージー氏は声明で「ユダヤ人コミュニティーへの攻撃は、全てのオーストラリア人への攻撃だ」と述べた。ユダヤ人コミュニティーの保護のため、「あらゆる資源を投入する」と強調した。

　Ｘ（ツイッター）上では、ビーチや周辺の広場にいた人々が銃声とともに一斉に逃げ出す様子を捉えた動画が投稿された。ロイター通信などによると、黒いシャツを着た男性が大型の銃を発砲している最中、背後から近づいた白いＴシャツを着た男性にタックルされ、武器を奪い取られて逃走する場面があった。別の動画では、男性が歩道橋の上から銃を発砲している様子も映っていたという。

　イスラエルのヘルツォグ大統領は１４日、声明を発表し、ユダヤ人が「卑劣なテロリストによる残忍な攻撃を受けた」と非難。「イスラエル国民全体の胸が締め付けられる思いだ。豪州社会をむしばむ反ユダヤ主義に対して闘うよう、豪州政府には繰り返し警告してきた」と指摘した。

　ボンダイビーチはシドニー中心部から東に約７キロの場所に位置し、サーファーや観光客が多く訪れる人気の観光地として知られる。豪州は夏季に入っており、週末をビーチで過ごす大勢の地元民や観光客でにぎわっていた。【バンコク国本愛】