中国、自衛隊元統幕長の台湾政務顧問に異例制裁 「独立勢力と結託」

2025/12/15 12:56 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 中国外務省は15日、自衛隊の元統合幕僚長で、台湾行政院(内閣)の政務顧問を務める岩崎茂氏に中国への入国禁止などの制裁を科すと発表した。即日発効する。台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁によって日中関係が悪化する中、中国政府は日本や台湾への圧力を国内外に示す狙いがあるとみられる。

 中国外務省は理由について「公然と『台湾独立』勢力と結託し、『一つの中国』原則に著しく違反し、中国の内政に干渉した」と主張した。「中国反外国制裁法」に基づく措置としており、香港やマカオを含む入国禁止のほか、中国の組織や個人との交易や協力活動の禁止、中国国内の財産凍結が制裁内容となっている。

 岩崎氏は航空自衛隊の戦闘機パイロット出身。航空幕僚長を経て2012~14年に制服組トップの統合幕僚長を務めた。今年3月に台湾行政院の政策顧問に就任したことが明らかになり、中国外務省は当時、日本側に申し入れ(抗議)するなど反発していた。

 中国が日本の個人に対して制裁措置を科すのは極めて異例。今年9月には中国出身で日本維新の会に所属する石平(せきへい)参院議員への制裁を発表していた。

 中国政府は過去、欧米が人権問題などを理由に中国の個人に制裁を科すことを「内政干渉」と反発してきたが、近年は関係が悪化したフィリピンや日本の政治関係者に制裁措置を科すようになっている。【北京・河津啓介】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース