東京・足立の車暴走 危険運転致死とひき逃げ容疑で再逮捕 氏名公表

2025/12/15 13:40 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 東京都足立区で盗難車が暴走して14人が死傷した事故で、警視庁交通捜査課は15日、車を運転していた足立区六月2の職業不詳、横尾優祐容疑者(37)を自動車運転処罰法違反(危険運転致死)と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で再逮捕した。赤信号を無視して加速しながら交差点に進入する様子が確認されたといい、危険運転に当たると判断した。また、容疑者の取り調べ時の様子などから刑事責任能力を問えるとして、氏名を公表した。

 事故は、11月24日に発生。足立区の車販売店から展示前のトヨタ車「クラウン」が盗まれ、2時間後に1キロほど離れた国道4号を暴走した。歩道に乗り上げて100メートル走るなどし、はねられた2人が死亡、12人が重軽傷を負った。事故直前には、盗難車を見つけた警視庁のパトカー2台が400メートルにわたって緊急走行で追跡していた。

 再逮捕容疑は、11月24日午後0時半ごろ、足立区梅島2の国道4号で盗難車を運転中、赤信号を無視して横断歩道に進入し、歩いて渡っていたフィリピン国籍で足立区の会社員、テスタド・グラディス・グレイス・ロタキオさん(28)をはねて死亡させ、その場から走り去ったとしている。

 警視庁や捜査関係者によると、周囲のカメラ映像から、赤信号を無視する様子や、急加速した時に車の先端部が浮き上がる「ノーズアップ」という現象が横断歩道の手前で起きていたことが判明。時速75キロ以上で走っていたとみられる。横尾容疑者は、これまでの調べに「追ってくるパトカーから逃げようとした」という趣旨の話をしていた。

 横尾容疑者は販売店で車に乗り込み、事故までの2時間の間に、埼玉県内のガソリンスタンドで車を洗ったり、公園に寄ったりしていたとみられる。

 事故後は走って現場から立ち去り、1キロ余り離れた自宅に帰っていた。窃盗容疑(15日に処分保留で釈放)で逮捕され、「クラウンに乗りたい気持ちが抑えきれなかった。運転免許証を紛失し、試乗もできなかったので、車を持っていった」「(事故後は)安全な場所に行こうと思い、歩いて帰ってしまった」とも供述していた。

 警視庁は当初、刑事責任能力の有無を調べる必要があるとして、氏名を公表しなかった。その後、取り調べ時に警察官との会話が支障なく成立していることや知人らへの聞き取りから、責任能力を問えるとみて、氏名を公表した。

 事故では、歩道で足立区の無職、杉本研二さん(81)がはねられて死亡し、5人が重軽傷を負い、その後に車道でトラックが追突され玉突き事故が起きて7人が軽傷を負った。警視庁はこれらの捜査も続ける。【菅野蘭】

毎日新聞

社会

社会一覧>

写真ニュース