部員1人→初花園 「東海の雄」にあらがった岐阜聖徳 高校ラグビー

2025/12/27 17:42 

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 ◇全国高校ラグビー大会1回戦(27日・東大阪市花園ラグビー場)

 ◇○中部大春日丘69―3岐阜聖徳学園●

 試合開始直後、初出場の岐阜聖徳学園をアクシデントが襲った。

 主将でセンター(CTB)の坂部遼河が密集で古傷の右膝を痛めた。6月に「膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼」と診断され、復帰までに約半年を要した大けが。3分で交代となり、精神的支柱を失った。

 代わりに中心となったのは、双子の兄であるウイング(WTB)の太河。「今までにないくらい声を出した。僕がお兄ちゃんなんで」

 前半11分、太河が左中間40メートルの長いPGを決めて花園初得点。要所で磨いてきたタックルで見せ場も作った。が、後半は中部大春日丘の圧力に押された。

 チームは2002年に同好会として生まれ、03年にラグビー部となった。部員不足に悩み、16年末には1人だけになった。関商工(岐阜)で花園の出場経験がある佐藤剛史監督が「一から作り直す」と再建に乗り出した。ファンだというプロレスラーの内藤哲也さんをまね、学校中の1年生にグータッチし「パレハ(スペイン語で相棒)だな」と言って勧誘した。

 他県にも勧誘に行き、ビジョンを伝えた。その熱意に応じたのが愛知出身の坂部兄弟ら。坂部兄弟は中部大春日丘に行く選択肢もあった中で、「本気で全国制覇に志を置いているところがいい」と入部した。そうした強化が実り、初の花園切符を手にした。

 大差で敗れたものの、佐藤監督の声色は明るかった。「春日丘という東海の雄に本気であらがった。東海地区の他の学校にも勇気を与えたのでは」

 内藤さんの決めぜりふは、スペイン語で「落ち着いて」という意味の「トランキーロ」。岐阜聖徳学園も焦らずに、夢の階段を上っていく。【生野貴紀、深野麟之介】

毎日新聞

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