父の背中追い世界へ 埼玉栄・福山若奈選手 高校駅伝入賞の立役者 

2025/12/30 15:15 

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 21日に京都市で開かれた女子第37回全国高校駅伝競走大会で、16年ぶりの入賞となる5位につけた埼玉栄。その立役者の一人、福山若奈選手(3年)の好走は、元箱根駅伝エースでハーフマラソン日本代表の父・良祐さんの励ましに支えられていた。

 「花の1区」を3年連続で託された。昨年はスタート直後に転倒するアクシデントに見舞われた。その経験を踏まえ、今年は先頭集団の右端に位置取った。全国の主力が集う中で最後まで食らいついて6位でつなぎ、序盤で流れを引き寄せた。

 入賞の好成績に「とても達成感に満ちあふれている」とやり切った表情を見せた。

 元はサッカー少女。弟の影響で小学3年から始め、中学時代までクラブチームに所属するなどして打ち込んだ。ただ、中学3年で出場した陸上大会の最高成績は1500メートル県内3位以内に。「私、向いているかも」と気付かされ、競技に専念する決意を固めた。

 その走りは親譲りと言える。父・良祐さんは中央学院大在学時、エースとして箱根駅伝「花の2区」で9人抜きの好走。その後も実業団で競技を続けてハーフマラソン日本代表にもなり、今は同大コーチを務める。

 福山選手は父から「特別な指導は受けていない」とあっけらかんとし、むしろ「自分の好きなようにやりなさい」と応援され、伸び伸び取り組んできた。

 そんな福山選手が「日の丸を背負えるチャンスがあるなら」と取り組んだのが、11月30日に行われた第46回世界クロスカントリー選手権のU20日本代表選考会(女子5000メートル)。見事代表枠の6位に入り、米南部フロリダ州タラハシーでの大会出場を決めた。

 すでに進路も固め、実業団チーム(第一生命グループ)に内定している。都大路を走り終えて見せた満足げな表情は、すぐに引き締まった。「ラストスパートは相変わらず硬くなって、課題が残った」。ここから世界へ羽ばたく準備はできている。【板鼻歳也】

毎日新聞

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