115失点の飯田 選手たちが大粒の涙流した理由 高校ラグビー
◇全国高校ラグビー大会2回戦(30日・東大阪市花園ラグビー場)
◇●飯田(長野)0―115目黒学院(東京第1)○
どれだけトライを奪われ、点差が離れても、飯田の選手は誰一人諦めなかった。ラグビーに真摯(しんし)に向き合ってきた姿がそこにはあった。
17トライを奪われ、115失点を喫し、主将のNO8小池勇誠は「全国のレベルを痛感した。1本トライを取りたかった……」とおえつを漏らした。
試合開始早々から、トンガ人留学生を擁し、フィジカルを前面に出す目黒学院に歯が立たなかった。
前半を終わって0―75。それでも、飯田の選手が下を向くことはなかった。
「まだ終わっていないぞ」
「まだまだ、だぞー」
観客席から飛んだ声が選手たちの背中を押した。
後半も猛攻を仕掛ける相手に対し、低く鋭いタックルで応戦。なんとかして、相手陣にボールを運ぼうとしたが、最後までトライラインは遠かった。
試合が終わると、飯田の選手たちは大粒の涙を流しながらグラウンドから引き揚げた。
小池は「ここまで来られたのは地域の方々の応援のお陰だった」と涙したワケを語った。
長野県飯田市に位置する県立校で、選手はわずか20人。2大会連続の花園出場が決まると、OBや保護者らが選手たちの滞在費などを工面するための寄付活動に奔走してくれた。
登下校中には地域の人たちから「頑張れ」と温かい言葉を掛けてもらい、差し入れをもらうこともあった。
「恩返しをしたい」。その一心で臨んだ1回戦の倉吉東(鳥取)戦は磨いてきたモールを駆使し、82―0の快勝で4大会ぶりに初戦を突破した。
2回戦は全国屈指のパワーに太刀打ちできなかったが、地元への感謝と勇気を届けたいと最後まで得点にこだわった。
スタンドオフ(SO)の田中壱智路(いちろ、3年)は後輩たちに思いを託した。「この115(失)点は無駄ではないはず。一日一日を大切にし、この舞台に戻って花園で年を越してほしい」
どんな状況でも情熱を失わず、前を向く――。その精神は受け継がれ、飯田の挑戦はこれからも続く。【村上正】
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