２０２６年２月６日に開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピックでの活躍が期待されるフィギュアスケートの日本代表。最終選考会の全日本選手権（２５年１２月）の結果を踏まえて、顔ぶれが決まった。０６年トリノ五輪以降、５大会連続でメダルを手にしており、今回もメダルラッシュが期待される。【倉沢仁志、玉井滉大】

　◇同世代３人で「絶対王者」超えへ

　前回の北京五輪で銀メダルを獲得した鍵山優真選手（２２）＝オリエンタルバイオ・中京大、グランプリ（ＧＰ）ファイナル２季連続３位の佐藤駿選手（２１）＝エームサービス・明大、２３年の４大陸選手権を制した三浦佳生選手（２０）＝オリエンタルバイオ・明大＝の同世代３人が「絶対王者」に挑む。

　鍵山選手はエースに成長。悲願の頂点へ、４回転フリップの投入も視野に入れている。「チャレンジャー精神を大事にしたい」と語る。

　佐藤選手は高難度の４回転ルッツを武器に、初出場ながらメダル候補に名が挙がる。五輪連覇を果たした羽生結弦さんと同じ仙台出身で「同じ舞台に立てるのが夢のよう」と話す。三浦選手は３種類の４回転ジャンプを跳び、メダルを狙える力を持つ。初の大舞台も「自分の全力を出すことに重きを置く」と冷静だ。

　立ちはだかるのは「４回転の神」の異名を持つイリア・マリニン選手（米国）。ＧＰファイナルのフリーでは４回転ジャンプを７本降りた異次元の世界王者に、どこまで迫れるか。

　◇有終の美誓う坂本　若き実力者２人

　２０２２～２４年世界選手権３連覇のエース、坂本花織選手（２５）＝シスメックス＝が最後の五輪に挑む。今季限りでの現役引退を決めている女王は、日本女子シングル初となる３大会連続の大舞台。圧倒的なスピードを誇るスケーティングや、一つ一つの要素で高い加点を引き出す技術の詰まった滑りは最盛期を迎えている。「銀メダル以上を目指したい」と個人では前回大会の銅メダルを超える成績での有終の美を誓う。

　中井亜美選手（１７）＝ＴＯＫＩＯインカラミ＝は今季世界２位の合計得点をマークし鮮烈なシニアデビューを果たした。トリプルアクセル（３回転半ジャンプ）だけでなく、状況に応じてジャンプ構成を変更するなど「スケートＩＱ」も高い。

　千葉百音選手（２０）＝木下グループ＝の持つ豊かな表現力と、伸びのある滑りは世界屈指。今季は序盤から抜群の安定感を誇る。昨季世界選手権銅メダルの実力者は、五輪でも十分、メダルを狙える存在だ。

　◇金メダル筆頭候補　日本ペアの新たな歴史を

　「りくりゅう」としては２度目の五輪となる三浦璃来選手（２４）、木原龍一選手（３３）組＝木下グループ＝が日本ペアとして新たな歴史を切り開く。昨季の世界選手権、今季のグランプリ（ＧＰ）ファイナルを制した２人は五輪でも金メダルの筆頭候補。日本勢で歴代最多４回目の五輪となる木原選手は「たくさんの方に見ていただけるチャンス。僕たちが頑張ることによって次世代に残せたら」。三浦選手は「４年前より自信を持って挑める」と意気込む。

　結成３季目の「ゆなすみ」こと長岡柚奈選手（２０）、森口澄士選手（２４）組＝木下アカデミー＝は、今季自己ベストを大幅に更新するなど伸び盛り。五輪予選を突破し自分たちでつかみ取った初舞台でも躍進を誓う。