“中森明菜”という唯一無二の世界に浸った一夜 8年ぶりディナーショー初日、熱気と感動に包ま…
『AKINA NAKAMORI Christmas DINNER SHOW 2025』初日公演の模様

23日、東京ドームホテルで中森明菜による8年ぶりのディナーショー『AKINA NAKAMORI Christmas DINNER SHOW 2025』初日公演が開催された。近年のファンクラブ限定ライブでは、ジャズアレンジされた楽曲を披露することが多かった中森だが、今回は全編オリジナルに近いアレンジで構成。長く待ち望まれていたパフォーマンスの復活として大きな喝采を浴びた。
【ライブ写真】圧巻のステージを見せた中森明菜 衣装違いのショットも!
開演時間ぴったりに照明が落ちると、客席からは「明菜ー!」のコール。シルバー、ブルー、グリーンの光が交差する中、白のドレスをまとった中森が登場すると、会場は大きな歓声に包まれた。
ステージを支えるのは、ドラム、ベース、ギター、ヴァイオリン、キーボード×2、コーラス×2の8人編成バンドだ。同期音源を巧みに組み合わせながら、中森の幅広い音楽性を再現。中でもヴァイオリン奏者は、シンセサイザーやギターのようなエフェクティブな音色も操り、楽曲に独自の色彩を加えていた。
■予想外のハプニング…からの圧巻ステージ 指先まで想いが込められた歌唱
オープニングは「花よ踊れ」。軽快な同期音源とスリリングなヴァイオリンが高揚感を引き立て、楽しそうに手を振りパフォーマンスする中森の姿が会場を一気に温めた。
最初のMCでは「ありがとー!」と明るく声をあげたものの、「衣装が壊れた!ウエストが外れてズレ落ちたの!初日なのに!」と予想外のハプニングを報告。笑いが起きる中、「何を歌ったか覚えてないよ」とはにかみながら、初日の緊張からしゃがみ込んでしまう姿も。「今日はいっぱいお酒を飲んでね。そのほうが私の歌が上手に聞こえるから」と、会場を和ませる冗談も飛び出した。
続く「スローモーション」では、タイトなリズムのうえで、しっかりとリズムをとりながら深く響く歌声を乗せる。サビでは伸びのあるハスキーボイスで魅了し、ラストはピアノとのデュオで観客を静かに引き込む。「セカンド・ラブ」はゆったりとした歌い出しから、手に持ったマイクの指先まで想いが込められたような迫真の歌唱で聴き手の心を捉え、「LIAR」では繊細なサビをストリングスに乗せて歌い上げる。深く広がる声がはっきりと際立つ音響の中、バンドと一体となったグルーヴが空間を支配した。
前半のハイライトとなった「難破船」では、ドラマチックな照明の中で魂の歌唱を披露。ベースのスラップフレーズが切ない楽曲の世界観にアクセントを加えていく。会場がその圧倒的なステージに引き込まれる中、中森は深く深くお辞儀をして曲を終えた。
曲終わりのMCでは「難破船を歌うといつも悲しくて泣いちゃうの。今日はみんなの顔を見てたら…凍ったの。もっとダメだった(笑)」と、冗談まじりにトーク。そして、この日は、広い会場での歌唱に備えて、本人としては初のイヤモニ(インイヤーモニター)を使用していることを明かす。「(イヤモニをしていると)苦手な飛行機に乗ってるみたいですごく緊張する」と言いながらも、「でも取ったら歌えなくなっちゃう」と笑いを誘った。「苦手」と言いながらも、イヤモニ効果で歌声がマイクにしっかりと乗っている印象で、無二の歌声を存分に味わうことができた。
■自作曲の初披露 そして怒涛の名曲メドレーに「は~どっこい!」
中盤では、中森がデビューして以来初めて作曲をした「Merry Christmas, My Heart」を初披露。「クリスマスソングの仲間に入れたらいいな」と語りかけてから、ベルやストリングスの音を織り込んだ温かなクリスマスソングを歌い上げた。短くすっきりとした構成ながら、その圧倒的な声の存在感で“遠い記憶の中で聴いたことがある気がする”と錯覚させるほどの新曲となった。
後半は「高齢だからゆっくりな曲も入れるよ」と冗談を言いつつ、怒涛のメドレーへ。「十戒(1984)」では手で顔を隠すおなじみのポーズで会場が沸き立ち、バラードセクションとは一転して軽やかに踊りながらパフォーマンス。バンドメンバー紹介のソロ回しを挟んで黒のパンツスーツに着替えて再登場すると、「飾りじゃないのよ涙は」から「SOLITUDE」へと畳みかける。エフェクトを駆使したヴァイオリンや80年代風の照明が曲の世界観を際立たせ、ファンも大きな手拍子で盛り上がりを見せる。
「Days」ではしっとりと歌を聴かせ、「TATTOO」では妖艶なダンスとともに、ノリのいいコーラス&ゴージャスな同期音源で会場はヒートアップ。大歓声の中、「DESIRE -情熱-」では力強いボーカルに呼応するように「は~どっこい!」のお馴染みの大合唱が巻き起こる。声を絞り出すように歌い終えた中森は、笑顔を見せながら投げキッスや手でハートマークを作って大声援に応えた。
■緊張も興奮もすべて包み込むようにフィナーレへ
圧巻のメドレーを終え、「足はまだ上がるのよ」「力こぶだってできるよ」と健在っぷりをアピールするなど、最後のMCも終始チャーミング。ファンとの時間を心から楽しんでいる様子がうかがえた。
ラストは「オフェリア」から「Fin」へ。じわじわと盛り上がる展開の中、力強く歌い、「Fin」ではハット&マントコートへの早着替えも披露。大人のグルーヴを湛えたステージで、緊張も興奮もすべて包み込むように、フィナーレを迎えた。
最後はハットを取って髪をかき上げ、爽やかな笑顔と手を振りながらステージをあとにした中森。その姿に、会場全体から惜しみない拍手が送られた。
中森明菜という唯一無二の世界に浸った8年ぶりのディナーショー初日は、まさに熱気と感動に包まれた“名曲のステージ”として幕を閉じた。
■セットリスト
M01. 花よ踊れ
MC
M02. スローモーション
M03. セカンド・ラブ
M04. LIAR
M05. 難破船
MC
M06. Merry Christmas, My Heart
メドレー
M07. 十戒(1984)
M08. 飾りじゃないのよ涙は
M09. SOLITUDE
M10. Days
M11. TATTOO
M12. DESIRE -情熱-
MC
M13. オフェリア
M14. Fin
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