駆逐艦や爆撃機を投入 中国軍が軍事演習 台湾「休戦ライン越えた」

2025/12/30 21:03 

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 中国軍による台湾周辺での大規模軍事演習は30日、2日目を迎えた。台湾方面を管轄する東部戦区は台湾北部と南部海域に駆逐艦や戦闘爆撃機を投入し、攻撃訓練などを通じ封鎖能力を確認。陸軍が北部海域に長距離のロケット弾を発射した。台湾国防部(国防省に相当)によると、27発が発射され一部は台湾沿岸から24カイリ(約45キロ)の海域付近に着弾したという。

 東部戦区の発表によると、このほか東部海域には強襲揚陸艦などの編隊や無人機(ドローン)を展開し、主要港湾の制圧演習などをした。また、陸海空軍とロケット軍が南部海域に向け長距離の合同射撃演習を行った。中国外務省の林剣副報道局長は30日の記者会見で「軍事演習は、武力による『台湾独立』を求める勢力への厳しい戒めで、国家主権と領土を守る必要な行動だ」と強調した。

 一方、台湾メディアは30日、演習中に台湾南西海域の沿岸24カイリに侵入しようとした中国海軍のミサイル駆逐艦が、火器管制レーダーを複数回照射されたとして台湾海軍の軍艦に抗議する場面があったと報じた。中国軍艦は放送で「挑発をやめる」よう呼びかけたという。

 台湾国防部は30日の記者会見でレーダー照射について否定はせず、台湾軍艦が「必要な防御的警告」を行ったと説明した。一時、緊迫した状況だった可能性がある。

 中国軍は29日、五つの演習区域で実弾射撃を伴う訓練を行うと発表し、航空機などが立ち入らないよう警告。台湾の交通当局によると、30日正午までに台湾本島と離島を結ぶ路線を中心に台湾内部の少なくとも36便が運航を中止するなど軍事演習で定期航空便の利用に影響が出た。

 台湾国防部は30日、同日午前6時までの24時間に、中国の軍用機延べ130機が台湾周辺で活動し、うち延べ90機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線などを越えたと発表した。【畠山哲郎(北京)、林哲平】

毎日新聞

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