トランプ氏「ベネズエラの港湾地帯を攻撃」 初の地上攻撃か

2025/12/30 10:30 

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 トランプ米大統領は29日、南米ベネズエラの港湾周辺を攻撃したと明らかにした。船に麻薬を積み込む「港湾地帯」だと説明したが、具体的な場所や攻撃の方法などの詳細は明かさなかった。米CNNは同日、米中央情報局(CIA)が12月、ドローンで沿岸の港湾施設を攻撃したと報道。死傷者はいない模様だ。ベネズエラに対する初めての地上攻撃の可能性がある。

 米政権は9月以降、麻薬対策を名目に、ベネズエラからの「麻薬密輸船」だと見なした船への攻撃を繰り返しており、石油タンカーも拿捕(だほ)するなど威圧を強めてきた。トランプ氏は地上攻撃に関しても「間もなく始める」と繰り返し言及。実際に踏み切ったとすれば、両国の緊張が一段と高まりそうだ。

 CNNによると、米政府はこの港湾施設について、犯罪集団「トレン・デ・アラグア」が麻薬の保管や積み込みなどに使用していたとみている。当時は無人だったという。

 トランプ氏は26日に出演したニューヨークのWABCラジオ局の番組で、ベネズエラには「船の出所となる大規模な工場か施設がある」とし、「2日前、我々は破壊した」と主張。29日には米南部フロリダ州で記者団から攻撃について質問され、「麻薬を船に積み込む港湾地帯で大きな爆発があった」とし、「我々はすべての船を攻撃し、その地帯も攻撃した」と語った。

 一方で、記者からは攻撃を実施した主体についても聞かれたが、「言いたくない」と述べ、回答を拒否した。トランプ氏は10月、CIAがベネズエラで秘密作戦を実行することを承認したと明らかにしている。

 ロイター通信によると、CIAやホワイトハウス、国防総省はいずれも攻撃に関して公表しておらず、ロイターの取材にも回答を拒否。ベネズエラ側からの発表や報道もないという。ロイターは秘密作戦の可能性を指摘している。米紙ニューヨーク・タイムズによると、当局者が麻薬関連施設を破壊したと認めた。

 米政権は「麻薬カルテル」を敵視し、武力行使を正当化してきた。反米左派のマドゥロ政権の退陣を求めているが、その狙いは産油国であるベネズエラの石油利権にもあるとの見方がある。

 米側はこれまで「麻薬密輸船」と見なす船への攻撃を繰り返し、100人以上を殺害。ただ、敵対行為に直接関与していない民間人を軍が殺害するやり方は国際法違反との指摘が出ている。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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