トランプ氏「心配していない」 中国による台湾周辺での軍事演習巡り

2025/12/30 10:01 

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 トランプ米大統領は29日、中国軍による台湾周辺での演習について、中国の習近平国家主席から連絡はないと明かした上で、「何も心配していない」と述べた。中国軍がかねて同様の軍事演習を実施してきたと指摘し、「現在のものよりも規模が大きかった。様子を見よう」と話した。

 歴代米政権は、中国軍の台湾周辺での軍事演習に関して懸念を表明するなどしてきた。だが、中国との貿易交渉を重視するトランプ氏は中国への配慮が目立っており、今回の軍事演習に関しても問題視しない姿勢を示した。

 トランプ氏は米南部フロリダ州で記者団に対して、習氏と良好な関係にあると強調し、「彼は私に何も言ってきていない。彼が実行するとは思っていない」と語った。中国が実際に台湾侵攻に踏み切る可能性を否定する意図の発言とみられる。

 トランプ氏は台湾有事の際の台湾防衛に関して明言しない「曖昧戦略」を取る。自身の任期中には「中国は台湾に侵攻しない」とも主張している。

 中国は高市早苗首相の台湾有事を巡る答弁を巡って日本への威圧を強めているが、トランプ氏は米中関係の安定化を優先しているとみられ、中国を批判していない。一方で、米政権は17日、台湾への111億ドル(約1兆7000億円)規模の武器の売却を承認した。今回の軍事演習は、これに対する中国の反発が背景にあるとの見方もある。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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