日本勢16年ぶり出場 車いすカーリングの魅力は? ミラノ冬季パラ
「イエス」(ブラシで氷を掃け)の声も、「ウォー」(掃くな)の声もリンクからは聞こえてこない。静寂が会場を包む中、ストーン(石)同士の低く鈍い衝突音が響き渡る。
6日(日本時間7日)に開幕するミラノ・コルティナ冬季パラリンピックで、日本勢として2010年バンクーバー大会以来16年ぶりに挑む競技が車いすカーリングだ。今大会から採用された新種目、混合ダブルスに出場しているが、オリンピックで目にしたカーリングとはどう違うのだろうか。
「最も特徴的なのは、氷をブラシでこすらない点です」。車いすカーリング元日本代表コーチの持田靖夫さん(49)はこう解説する。滑らせた石をハウスと呼ばれる円の中心に近づけ得点を競うなどルールの共通点は多いが、車いすカーリングにはブラシで氷の表面を掃くスイープがない。石を押し出した後は軌道を変えることができないため、カーリングよりもショットの精緻な技術が必要になる。持田さんは「一発勝負であり、選手の技術の差が明確に出てくる」と説明する。
ショットには「デリバリースティック」と呼ばれる専用の道具を用いる。スティックの長さは2メートル前後あり、先端を石の上部についたハンドルにはめ込み押し出している。石を投げる時に回転させることもできる。現在のスティックが普及する前は上下水道管などに使用される塩化ビニール管を加工して、使用していた時期もあったという。
車いすカーリングは1990年代にヨーロッパで生まれたとされる。06年トリノ大会で正式競技となった。
今大会は、小川亜希選手(50)と中島洋治選手(61)のペア(チーム中島)が金メダル候補として臨む。2人は10年のバンクーバー大会で混合4人制に出場していた。この時は1次リーグ敗退だったが、それから15年間技術を磨き、25年3月の混合ダブルスの世界選手権で日本勢初の優勝を果たした。持田さんは小川選手の持ち味を「ハウスの中に止めるショットの精度が非常に高い」と語り、中島選手については「自分たちの有利な展開に持って行けるような石の置き方ができる選手」と評する。競技歴20年以上のベテラン勢の集大成にも注目したい。【遠藤龍】
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