イングランドに勝利も…「良いことではない」 サッカー日本代表
歴史的初勝利の直後とは思えないほど、選手たちから発せられたのはネガティブな言葉だった。サッカー日本代表がアウェーで強豪のイングランド代表を1―0で破った一戦に、ピッチ内で何を感じたのか。
決勝点を挙げた三笘薫選手(ブライトン)は、この勝利を「あまり良いことではない」と言い切った。
「(注目度が上がって)ワールドカップ(W杯)前に相手に分析されやすくなるし、結果だけ見れば勝利だけど、内容を見ればボールを支配されている。そこのギャップは埋めていかないと、W杯で痛い目に遭う」
日本の選手たちの間でよく使われるのが「戦術カタール」という言葉だ。
2022年W杯カタール大会1次リーグでドイツとスペインを破った時のように、前半は相手の猛攻に耐え、後半は一転して攻撃のギアを上げて相手を面食らわせる。いわば急襲作戦で、昨年10月の国際親善試合でブラジルに3―2で逆転勝ちした際もそうだった。
イングランド戦は先制し、逃げ切る展開だった。前半に失点し、追いかける展開で後半から「戦術カタール」で逆転勝利を挙げてきた今までよりも、安定した試合運びだ。
だが日本が本当に追い求めるのは、強豪相手にも主導権を握って勝利することだ。
鎌田大地選手(クリスタルパレス)も「やっぱりまだこういうレベルのチームとの差は感じる」と明かす。
サッカー界では「勝利の再現性」という言葉をよく耳にする。偶然ではなく必然の勝利にいかに近づけるか、という文脈で使われる言葉だ。
イングランド戦後には上田綺世選手(フェイエノールト)がこのワードを口にした。
「今日の戦い方をして10試合やったとしたら、そんなに勝率は良くないと思う。より五分五分、それ以上(の勝率)に近づけるように、主体性を持って次のW杯はプレーしたい」
意識の高さの裏には、日本が公言する「W杯優勝」という目標がある。
森保一監督は試合前日、イングランドが優勝の「本命」であるのに対し、日本は「ダークホースで優勝を狙う」と現地メディアの質問に対して語った。
たとえダークホースでも、運や勢いが味方するだけではW杯の頂点に届くのは難しく、確かな実力が不可欠だ。
日本は強豪に一回勝って喜ぶステージを越え、勝ち続けることをテーマとする領域に入っている。【ロンドン高野裕士】
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