フェイクじゃなかった? トランプ関税、2日前に「停止」情報拡散

2025/04/10 11:51 

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 トランプ米大統領が9日発表した「90日間の相互関税停止」を巡っては、7日に「停止を検討」という真偽不明の情報が出回り、ニューヨーク市場で株価が一時急騰する場面があった。ホワイトハウスは当時、「フェイク(虚偽)ニュースだ」と全面否定したが、結果的に正しかったことになる。

 発端は、米CNBCテレビなど一部メディアが7日に速報した「トランプ氏が90日間、中国を除く全ての国に対し関税を停止するよう検討している」とのニュース。「相互関税」の発動で貿易摩擦の激化が警戒されていたが、このニュースで投資家心理が改善。大きく下落していたダウ工業株30種平均は、急反発に転じた。

 この速報の根拠となったのは、同じ日にFOXニュースに出演した国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長。番組出演者が「90日間の関税停止を検討しているのか」と聞くと、ハセット氏は短く「そうだ」と答えた。X(ツイッター)では、このやりとりを基に「中国を除き、関税90日間停止」との投稿が拡散された。

 FOXニュースの出演者が、なぜ正確な停止期間を質問できたのか。Xの投稿で、「中国を除く」という条件まで特定されていた理由は不明。トランプ政権幹部から事前に情報を入手した人物が値下がりした株を購入していれば、インサイダー取引に問われる可能性がありそうだ。

 また、トランプ氏が9日、関税停止を発表する数時間前に、自身の交流サイト(SNS)に「絶好の買い時だ」と投稿したことについて、Xには「インサイダー情報」「相場操縦」といった批判が相次いだ。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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