ムーディーズ、米国の信用格付けを最高位から引き下げ 政府債務増

2025/05/17 07:54 

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 米格付け大手ムーディーズは16日、米国の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に1段階引き下げたと発表した。10年以上にわたって政府債務と利払い費用が増加し、改善を見込めないことが理由。世界1位の経済大国である米国は、世界3大格付け会社の全てで最高位を失ったことになる。

 ムーディーズは声明で「歴代政権と連邦議会は、毎年の巨額の財政赤字と利払い費の増加を反転させる方策で合意できなかった。現在検討されている予算案でも、財政赤字の大幅な削減は見込めない」と指摘。「今後10年間、政府歳入がほぼ横ばいの一方で歳出は増え、財政赤字が拡大すると予想される。大幅な財政赤字が続き、政府債務と金利負担が増加する」と格下げの理由を説明した。

 ムーディーズの発表後、米国債先物が売られ、金利は上昇(価格は低下)した。

 米国の信用格付けを巡っては、S&Pグローバル・レーティングが2011年に、フィッチ・レーティングスが23年に、それぞれ最高位から1段階格下げしている。ムーディーズは最高位の評価を続ける最後の1社だった。

 米国債は国際金融市場で最も安全な資産と位置づけられ、ドルは基軸通貨の役割を担ってきた。だが、米国では放漫財政で債務残高が増え続けているうえ、今年1月に発足した第2次トランプ政権は、世界経済の急減速を招きかねない大規模関税発動などで投資家の信用を失い、市場で「米国売り」を招いている。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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