韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）前大統領は１７日、フェイスブックに与党「国民の力」を離党すると投稿した。中道や無党派層の多くが尹氏の戒厳令宣布を批判的に見ており、党側は大統領選（６月３日投開票）での更なる支持獲得のため、尹氏に離党を求めていた。

　尹氏は投稿で、同党の大統領選候補の金文洙（キム・ムンス）・前雇用労働相（７３）の勝利を「熱望している」とし、党を離れるのは「大統領選の勝利と自由民主主義を守るために、今私ができる最善の道だ」と説明。「金文洙氏に力を結集してほしい」と訴えた。

　韓国ギャラップが１３～１５日に実施した各候補の支持率調査では、進歩系の野党「共に民主党」の李在明（イ・ジェミョン）・前代表（６１）５１％▽金文洙氏２９％▽保守系野党「改革新党」の国会議員、李俊錫（イ・ジュンソク）氏（４０）８％――だった。金文洙氏の中道層での支持率は２０％にとどまり、無党派層の５０％が投票先を決めていなかった。

　支持の伸び悩みを打開するため、党暫定トップの金竜泰（キム・ヨンテ）・非常対策委員長（３４）は１６日、尹氏に対し離党を勧告すると発表。金文洙氏はこれまで尹氏の弾劾・罷免に反対してきたが、告示後に戒厳令について「適切でなかった。国民に申し訳ない」と謝罪した。尹氏の離党については尹氏の判断に任せる考えを示していた。【ソウル日下部元美】