「国酒」なのにシェア1割未満 日本酒は「酒ハイ」で巻き返せるか
10月1日は日本酒の日。全国各地で関連イベントが開催されるが、「国酒」であるにもかかわらず、国内で消費される全酒類の中で、日本酒のシェアは今や1割もない。危機感を強める業界は、日本酒のソーダ割り「酒ハイ」(日本酒ハイボール)で、巻き返しを図っている。
日本酒の2023年度の出荷量は約38万8000キロリットルで、ピーク時(1973年度)の4分の1未満にまで減った。国内で消費される全酒類の中でも日本酒のシェアは約5%で存在感が薄れている。
そこで酒造会社や酒類卸などが中心になり、24年に「日本酒需要創造会議」が発足。出した答えが、飲食店を中心に「酒ハイ」を広めることだった。冷やした日本酒(アルコール度数14~16%)と炭酸水を1対1で割り、度数をチューハイ並みの7~8%程度にする。日本酒らしさを失っては意味がないため、レモンなど他の材料は足さない。
日本酒需要創造会議の中核メンバー企業で、酒類販売「カクヤス」(東京都北区)の大野郁美BtoB販促企画課長は「リサーチしたところ、消費者は日本酒の味がだめというより、アルコール度数が高く『重い』ため、心理的なハードルがあるという結果だった」と説明する。
日本酒需要創造会議では「酒ハイ」に向いている酒質も検討した。香り華やかなタイプや、酸味が強いタイプ、伝統的な製造手法で、味わいに幅や奥行きが出る「生酛(きもと)」系の酒などを挙げた。大手の宝酒造(京都市)や月桂冠(同)は酒ハイ専用商品も投入し始めている。
もっとも日本酒のソーダ割りや、それに近い発泡性の低アルコールの日本酒自体に目新しさはない。以前から飲食店で提供されたり、各社が商品を出したりしてきた。00年代のハイボールブームの際は、酒造会社も「日本酒ハイボール」を出した。だが、ハイボールに匹敵するようなブームには至らなかった。
今回の「酒ハイ」が従来と違うのが、各地の大手や準大手の酒造会社、大手卸、酒販店などが横断的に組み、飲食店や小売店での全国規模の展開を働きかけていることだ。
取り組みから約1年、「酒ハイ」は各地の飲食店で採用されつつある。カクヤスでは取引先に酒ハイのメニューを提案し、25年9月末現在で、首都圏を中心に約1700店で取り入れられた。他の酒類とも競合できるよう、価格帯も500円ほどに設定されているという。
カクヤスの大野さんは「飲んだお客さんのリピート率は上々と聞く。飲食店で気軽に注文してもらい、トレンドをつくって世間に根付くまで持っていきたい」と意気込む。【植田憲尚】
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