農水省に「フードGメン」 コメなど食品コストの価格転嫁を監視

2025/10/01 06:30 

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 農林水産省は1日、コメなどの食品を対象に、生産から加工・流通、販売までの各段階で、売り手側のコスト上昇分の価格転嫁を認めない取引を調べる専任の「フードGメン」を新たに配置した。利益を出せない不当な買いたたきを防ぎ、生産者ら売り手側が持続可能な価格の形成を促す。

 本省と、八つの地方農政局・農政事務所に2人ずつ置き、計18人体制で始動した。

 これまでも流通業者の不当な取引を調査することはあったが、今年6月、コスト上昇分の価格転嫁協議に買い手側も誠実に応じることを努力義務として盛り込んだ「食料システム法」が成立。専任職員を各地に置いて、食品取引の監視に本腰を入れることにした。

 さらにウェブサイトに情報提供を求める窓口を設けるほか、10日~11月28日に約2万事業者を対象にしたアンケートを実施する。農協や加工・流通業者らに対し、自らのコスト負担分を正確に把握しているかどうかや、取引先にコスト上昇分を適正に転嫁できているかなどを尋ねる予定。生産者や業界団体への聞き取り調査も計画している。

 農水省は適正な取引を促すため、事業者が取るべき行動規範(判断基準)を年度内に策定する方針。この判断基準に基づき、来年4月の同法全面施行後は、買い手側の取り組みが不十分なケースが見つかった場合、助言や指導を行い、是正しなければ勧告や公表に踏み切るとしている。【中津川甫】

毎日新聞

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