サーブは15種 ソニーがAI卓球ロボ開発、強豪相手に3勝2敗

2026/04/30 16:35 

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 一流の卓球選手と互角に戦える人工知能(AI)ロボットをソニーグループの研究開発部門「ソニーAI」のチームが開発し、23日付の英科学誌ネイチャーに発表した。現役で10年以上活躍する5人の日本人選手と戦い、3勝2敗の戦績を収めた。公式ルールに沿って、強豪選手に勝利した卓球のAIロボットは初めてという。

 開発したロボットの名称は「Ace(エース)」。八つの関節を持ち、安定して返球できる。コートに取り付けた9台のカメラと、物の動きを瞬時に捉えるセンサーを備えたシステムで、球の位置や回転を素早く正確に認識する。

 動作はAIが制御する。シミュレーション上で卓球のデータを学習し、自ら最適な打ち方を試行錯誤して編み出せる。実世界の試合のデータを学習に必要とせず、ロボットがそのまま試合に臨むことができた。試合のデータを通じてシミュレーションを改良し、腕前をさらに向上させた。

 実力を検証する試合は国際卓球連盟のルールに従い2025年4月から実施。選手5人と対戦し、13ゲーム中7ゲームを制した。

 エースは選手よりも多様なスピンを駆使し、ネットに引っかかった球にも対応。15種のサーブを操り、サーブだけで16ポイントを獲得し、選手の8ポイントを上回った。

 プロリーグ「Tリーグ」に所属(当時)の2人の選手とも対戦したが、2試合とも敗北。勝利したのは7ゲーム中1ゲームだった。ただ、論文投稿後も改良を続け、ソニーによると今年4月までに複数のプロ選手に勝利したという。

 卓球ロボは約40年前から開発が行われてきたが、簡略化したルールでの実証やアマチュア選手に勝てるレベルにとどまっていた。研究チームは、エースのように相手とやりとりし、瞬時に正確に対応できる技術は今後、製造業などで応用できる可能性があるとする。またテニスや野球などスピードが求められるスポーツの競技分析や練習支援に役立つ可能性があるとしている。【木許はるみ】

毎日新聞

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